隣の芝生は青く見える【続編】 (ページ13)

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第63話ページ13

ー入院2日目ー

「ねえ！どう思う！？」

ハンジがキラキラした目でAを見る。
Aは鬱陶しそうに耳を塞ぐ。

ハンジは1日に時間を見ては何度もきて巨人の話をする。
逃げ出せないこの状況に良い気になって巨人談義をしていくのが、今のハンジのマイブームの様だ。

「それよりもさ、他のみんなの怪我は大丈夫なの？幹部組はこの病棟じゃないから分からないのよね」
話を逸らそうと思いそう言うと、ハンジは何か思い出したように手を叩いた。

「そうだ！興味深い話を聞いたんだよ」
「なに？」

やっと巨人の話から離れられるらしい。

「ペトラがリヴァイと付き合ってるって話、デマみたいだよ。A、以前私の部屋にきて話してたでしょ。付き合ってるみたいだって。アレは～…惜しい感じっぽいね」
「惜しいって？」
「ペトラがリヴァイに告白して振られたみたいなんだ」

ハンジは少し開いた足の間に手を置いて、Aに軽く身を乗り出す。
「私が、リヴァイが丸くなったーって言ってた頃があったでしょ、あの辺りで告白したみたいだよ」
「じゃあ執務室にいた時はすでにフラれてたって事？」
「そうなるね。多分なにかリヴァイに話したいことがあったんだよ。まあフラれたコが話したいことはなんだったのかなんて想像がつくけどさ」
Aは腕組みをして複雑そうな顔をした。

あの拠点での出来事があったからだ。

Aからすればブラウス1枚の薄着(自分もだったけど)でリヴァイのテントから出てきて、目を潤ませていた彼女の姿に、情事後を思わせる雰囲気を感じた。
同じ班内での恋愛なのだから周囲には「付き合っていない」と言い張るのは自然な事ではある。
これはハンジがあまりにも言葉の表面だけを受け取っているように思う。

「でもそれで合点がいったよ」
Aの思考をハンジが遮った。
「合点ってなに」
「本人には言うなって言われてるんだけどね。私は人の善行には口が軽いんだ～」
そう前置きをしたハンジは、ムフフと面白そうに笑った。