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第61話 ページ11

リヴァイが呼んだのか、入れ違いでリチャードが入ってきた。
嬉しそうに笑っている。
彼は開口一番に「よかった!」と言った。
「貴方が入院したと聞いて、いてもたってもいられなかったんです!」
「ご心配おかけしました。怪我らしいものはないのですが、全身を強く打ってしまって」
「そうでしたか。では退院は問題なさそうですね」
そう言って微笑んだリチャードはAのベッドの隣に座る。


「私も調査兵団に入りたいです」
「え?」
「貴方と一緒にいられるなら、私も調査兵になりた「やめてください」
Aのいつにない鋭い声にリチャードは顔を上げる。
「そんな理由で調査兵に等とおっしゃらないでください」
「Aさん…」
「今回も沢山の人が死にましたもの」
シーツを握りしめて俯いたAの手をリチャードは握った。
その手にAもそっと重ねるとリチャードを見る。

「でも一番悪いのは私です。貴方にそんなことを言わせてしまうなんて」

Aは目を伏せる。
「貴方はとてもいい方ですね、リチャード様。だから私も言えなかった。でも、ちゃんとお話しするべきでした」
「…?」
「貴方はきっと、私を大切にしてくださるのでしょう。とてもいい方ですもの。だけど貴方と結婚するつもりはありません」
「それは、いつ死ぬかしれないからということですか?」

「違います。私が貴方を好きになることはないからです」
Aはリチャードに対してこうもハッキリと物を言ったことがない。
いつでも彼の話を頷いて肯定してきた。
リチャードはそんなAから目を離さなかったが、程なくして深く息をはいて俯いた。

「申し訳ありません。こういう事に不慣れで。貴方を傷つけてしまいました。もっと早く言えていれば…本当に…」

Aが涙を堪えながらそこまで言った時、リチャードはAを抱きしめた。

「泣かないで。貴方を泣かせたくて来たのではありません」
そのまましばらくじっとしていた2人だったが、リチャードが名残惜しそうに体を離す。
「Aさんには、好きな人がいるんですか?」
「え…?」

いきなりそんなことを聞かれるとは思わず、声が上ずる。

「あぁ!いいんです!ちょっと聞いてみたかったんですけど…やっぱりいいです!」
少し恥ずかしそうにそう言ったリチャードは立ち上がる。


「では、さようなら」
そう言い残してリチャードは部屋を出て行った。

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設定タグ:エルヴィン , 夢小説 , リヴァイ   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ララ | 作成日時:2020年11月25日 0時

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