中編 ページ2
翌日、Aとリヴァイは町にいた。
「大体今回みたいな感じだから。今後、憲兵団にお遣いを頼まれたらあんな感じでよろしく」
「わかった」
2人は調査兵団詰め所に向かって歩く。
リヴァイは今日もコートの襟を立てて、両手をポケットに突っ込んでいる。
Aは白い息を吐きながら空を見上げた。
「ねぇ、リヴァイは雪、見た事ある?」
「ねえな。だが見たくもねえ。降るって事は寒いんだろう」
「まぁね。…今日か明日、降るかもよ?」
「なんでわかる」
「なんとなく。空の色かな?」
リヴァイは少し赤い鼻を触ると、同じように空を見上げた。
薄曇りでどんよりしていて、見ているだけでも寒そうな空だ。
しばらく歩いていると。
「あっ」
Aが声を上げた。
その声と同時に、頬に冷たいものが当たる。
「雨か?」
「雪」
言われて空を見上げると、チラホラと雪が降っていた。
リヴァイは思わず言葉を失い、柄にもなく感動した。
Aは自分の手柄かのようにニヤニヤしている。
少し癪だが、それよりも初めて見た雪から目を離したくない。
「リヴァイ」
呼び掛けに振り向くと、Aは自分の首に巻いていたマフラーを外して、それをリヴァイに巻こうとする。
「やめろ」
照れくさくて拒否すると、
「寒がりの癖に…ちゃんと洗濯してるわよ」
と返された。
「ま、人が巻いてたのなんて嫌か」
そう言ってまた自分の首に戻そうとしたAの手首を、リヴァイは慌てて掴む。
「巻いとく?」
「…。ああ」
Aはウンウン頷くとマフラーをリヴァイに巻いた。
「ねえ、もし雪が積もったら暖かいもの食べに行こう」
「あ?…興味ねえが、付き合ってやらなくもねえ」
照れくささを隠す為に、リヴァイはスタスタと歩きだす。
マフラーにはほんのりAの匂いと体温が残っていた。
配給された同じ洗剤で洗っているのに、なんとなく違うにおいが混じっている。
我ながらこれでは変態だと、リヴァイは思った。
兵舎に着くと、それぞれ男女別の宿舎に向かう為にそこで解散する。
「これ、洗濯して返す」
「いや、いいよ。数分貸しただけだし」
半ば強引にマフラーを取り上げたAは、ササッと自分に巻く。
ふとリヴァイと目が合った。
「ちょっと貸しただけなのに、リヴァイの匂いする。いい匂い」
「やめろ。洗って返すからよこせ、変態野郎が」
「残念。変態は私にとって誉め言葉だわ」
よく分からない事を言ってAはさっさと兵舎に入っていってしまった。
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ララ(プロフ) - ゆるさん» コメントありがとうございます^ ^私もエルヴィンが大好きです。色々下書き段階までの作品がいくつかありますので、UPできましたら是非よろしくお願いします♡ (2023年3月19日 10時) (レス) id: 4ef94921e2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - エルヴィン団長、推しているのでめっちゃ嬉しいです!!キュンキュンしすぎちゃいました笑笑 更新楽しみです! (2023年3月17日 19時) (レス) id: 335fd73c74 (このIDを非表示/違反報告)
ララ(プロフ) - pさん» コメントありがとうございます。現在執筆中ですので、また公開できましたらよろしくお願いします^ ^ (2022年6月3日 12時) (レス) id: 4ef94921e2 (このIDを非表示/違反報告)
p(プロフ) - キュンキュンしまくりですっ!更新楽しみにしてますっっ (2022年6月3日 0時) (レス) @page12 id: f1a393f59c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ララ | 作成日時:2022年3月6日 3時