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フィディオに送ってもらい、再び宿へと戻ってきた。
時刻はもうすぐで日付が変わろうとしている。
「さすがに迷惑かな…」
手にしている携帯の画面には、恋人の名前と電話番号が表示されている。
真ん中のボタンをあと一回でも押せば、簡単に発信出来てしまう。
けれど、時間が時間だ。
もう寝てしまっていても不思議ではない。
「…よし」
葛藤の末、私はボタンを押して耳に携帯を押し当てた。
正直に話さなきゃ…今日あった出来事を。
別に明日でもいいかもしれない。
でも…今すぐじゃないと、いけない気がしたんだ。
『もしもし。Aか?』
4〜5回コールが鳴った後に彼は出てくれた。
「!マーク…夜遅くにごめんなさい。あの、もしかして起こしちゃった…?」
『いや、そろそろ寝ようと思ってたところだ。でも、大丈夫だぞ』
やっぱり明日にするべきだったか…
少しだけ後悔の念が押し寄せたけれど、こうして電話してしまったからには、もう覚悟を決めるしかない。
私はひとつ深呼吸してから口を開いた。
「あのね…話したい事があるの。聞いてくれるかな…?」
『ああ、もちろん。どうした?』
「私……今日、フィディオにね…好きだ、って言われたの」
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作者名:結川 | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時:2021年8月23日 16時