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*




「……ミツ、実は…」




一度目を閉じ、何か考える素振りを見せた玉森が再び瞼を開け意を決したかの様にこちらを見て口を開きかける

…も、

恐らく隣から止められたのだろう

小さく首を横に振る宮田とそれに納得いかず、でもこれ以上は何も言えなくなってしまった

と言わんばかりに困り顔で目線を逸らす玉森

そんな二人のやり取り、浮かべてる表情に何となく察してしまう

…ああ、そうか…

お前等はきっと何かしら聞いてるんだな

俺が楽屋を出てったあの時か?それとも別のタイミングでか、

俺達の関係を知っているからと

特に身近なメンバーだからと、

藤ヶ谷から伝えられたのかもしれない

…話をするその順番でさえもう、自分が先にはなれないという事実に微かに震えそうになった唇を噛んだ




「…キタミツは、これからどうしようとか、何か考えはあるの?」

「んー…。 …正直、今はまだ分かんね。どうするべきなのかとか。一度ちゃんと話しなきゃ、て思っても向こうがあんなだからまともに会話も出来ないし。 でもやっぱ心配だから連絡はしてみようとは思うけど、返信なんてまともに来ないだろうしさ」




自嘲を零しながら目線を自分の手元に落とす

玉森に「何か話したいことがあるなら聞く」と言われた時に、「何も無い。大丈夫」といつもの様に笑ってやり過ごす事だって出来た

それでも自分からこの話をしたにも関わらず、これ以上二人を正面からまともに見ていられなくて顔は上げられないまま




「…どうか自分の気持ちに正直にね。無理して傷付く事は避けて欲しいけど、キタミツに幸せに笑ってて貰いたいのは俺もタマも皆も同じ想いだから」

「…出来るか分かんねぇけど一応頑張ってみるわ」




今は、そんな事しか言えない

宮田が相変わらず眉尻を下げて悲しそうにしてるのも、その隣で玉森が何か言いたげなのをぐっと抑えて黙ってるのも

直接見なくても空気だけで分かる

俺と藤ヶ谷に何か起きた事でこうやってメンバーに少なからず迷惑を掛けてる事実は嫌という程痛感していた

二人の、またはどちらかの我儘で更に和を乱す様な事もあってはならない


引き際を見極めるならきっと今なんだろう


もう、これ以上彼奴の隣に居る自分を望むのは間違ってるのかもしれない

グループの為にも、キスマイを守って続けていく為にも、

夢の中の藤ヶ谷が示した道



恋人としての関係から離れる事を



考えなければいけないのかもしれない




_

下弦の月→←☾



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kurumi(プロフ) - aaaさん» 切なくなったりドキドキしたり…そんなお話が書けたらと思っていたので楽しんで頂けていたら何よりです(*´˘`*)私もFさんは月のイメージでした。でも此のKiさんにとっては太陽なんですよね。逆にFさんにとっては…。ありがとうございます!最後までよろしくお願いします (2022年10月5日 22時) (レス) id: 65b4911c20 (このIDを非表示/違反報告)
aaa(プロフ) - このお話、いったいどう着地するんだろうとドキドキしながら読ませて頂いてたのでちょっとホッとしてます。Fくんって太陽の太が入ってるのに月のイメージなんですよね。。月の満ち欠けで進むお話素敵ですね。続きが楽しみです。 (2022年10月5日 19時) (レス) @page27 id: 28fb511570 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kurumi | 作成日時:2022年8月4日 0時

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