告白予行練習 ページ6
◇
「いきなりで、ごめんな
───ずっと前から、好きでした」
言った。ついに言ってしまった。
心のタンスの奥の奥にしまっていたはずの、言葉が零れ落ちる。
鏡を見なくてもわかるくらいに、焼けるように顔が熱い。
Aの顔さえ見るのが怖い。
ぐっと俯くことしかできなくて、気まずい空気が流れていく。
恐る恐る顔を上げると、茫然とした表情のまま、Aが立ち尽くしていた。
「………えっ…？」
俺の幻覚なのかもしれないけれど、Aの顔がほんのり、桃色に染まっているような、そんな気がした。
どうしよう、気まずい。何か言わないと、俺がやってけない。
「っな、な……………」
「な………？」
小首を傾げるその仕草さえ、普段のイケメンさからは考えられないくらいにかわいい表情を浮かべる。
「っなんてなっ！ 冗談だよ、冗談！」
やっちまった。
頭の中で発狂するものの、表情には出さないように、必死に取り繕う。
───上手く、ごまかせただろうか。
「…っはぁぁあああぁぁぁああぁぁっ………！！！
……ま〜くん、アンタねえ…！」
Aは盛大なため息をついて、前髪をかき上げた。
小さな手で覆われた顔は、どことなく赤く染まっているような気がしたのは、俺の考えすぎだろうか。
「あー………びっくりさせてごめんな？」
「ごめんなで済む話じゃない……」
揶揄うのもいい加減にしてよ、とへなへなと地面に座り込むAに少し、期待してしまいそうになる。
「………それで、これは何？」
「ん〜？ これはなー…
───告白予行練習、だよ」
「…はぁ？ 練習？」
「なっ、かっこよかった？ ちょっとドキッとした？
…───あー…」
Aは湿度が100%を軽く超えるくらいじっとりとした視線を向けてくる。
逆に辛い。普通に好きって言えば良かった気がしてきた。
「…そんな顔すんなって、俺は、」
「本気になるよ」
「───っは？」
さあっと秋の訪れを知らせるような冷ややかな風が俺たちの間を過ぎていく。
いつになく真剣な表情のAの言葉に、みるみるうちに体温と心拍数が急上昇していく。
───どういう意味だよ、それ。
喉から出かかったその言葉は、Aによって遮られてしまった。
「じょーだん。仕返し」
「───ッお前な…！」
アンタがさっきやったことじゃん？
にぃっと悪い笑みを浮かべるAはごもっともすぎて、言い返すことさえできなかった。
◇
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まいとりー。(プロフ) - 夏目かこさん» 夏目かこさん、コメントありがとうございます。そうです、大正解です！！ (2022年9月14日 7時) (
レス) id: a716690bac (このIDを非表示/違反報告)
夏目かこ - ハニワですね、告白予行練習 (2022年9月13日 23時) (レス) @page3 id: 26710bd71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まいとりー。 | 作成日時：2021年11月20日 23時
