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誘拐:29 ページ35

時は、来た。


外は完全に闇に沈み、虫の声が静かに響いている。




俺は今夜、この部屋を出る。


脱出に必要なものはプラスドライバー。


昼間調べたところ、窓の鉄格子のネジ部分にカバーや固定用の接着剤は被せられていなかった。
だから少し格子の外に手を伸ばしてネジを外してやるだけで、


ガコッ



ほら、簡単に外れた。

何本か外していくと、俺くらいの体格でも出られるくらいになる。




そうすれば、残る問題は――――――














































「お前だけだよな――――――A」






俺の首筋にピタリと冷たいモノを突きつけるA。

多分、アイスピック。



『まさか、あたしの許可なく出られるなんて思ってないわよね』



「ふはっ、許可だぁ?そんなもんお前が出すワケねぇだろ。ありもしないものに縋る気はねぇよ。

それに、どうせお前はこう言うんだろ?

"この部屋を出たければ自分を倒してから行け"

――――――――ってな」


『あらら、良く分かってるじゃない』



「あぁ―――――――こうなると思ってたよ。

どっちにしろ好都合だ、お前の方から来るってのは。
足枷は外さなきゃならないんでな。」



『随分ナメられたものねぇ、あたしも。
簡単に鍵なんか渡さないわよ?逃がす気はないって言ったでしょ。

……でも、そうね。
少し予定を変更することにしようかな』



Aは手に持っていた鍵を制服のスカートのポケットに突っ込んだ。

同時に、持っていたアイスピックを俺に向かって大きく振りかぶる。



「……っ、危ねぇな、」


間一髪避け、Aと距離を取った。
窓からは離れてしまったが、あのままAの凶器の餌食になるよりマシだ。

Aはさして残念そうでもない顔で、あら残念、と呟く。


『よく避けたわね……と言いたい所だけど、あたしこれでも随分手加減してるの。


……だから、最終警告よ』




アイスピックの先を俺に向けて、Aはゆっくりと喋る。







『投降しなさい、花宮真。
あんたじゃあたしに、勝てない。
謝るなら今のうちよ』



「こうなると思ってたって言っただろーが。

誰がお前の指図に従うかよ。」



『……そう。あたしと戦るのね。』


「あぁ。」





俺が頷くと、Aはあの人形のような顔で笑い、そして何の感情も持たないような冷たい顔を見せた。









『そう。だったら――――――――――』









『ここで、死んで。』

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Mae(プロフ) - かぼちゃポンタさん» コメントありがとうございます!!メインの2人以外にも結構時間を割いているので、そんな風に黒子の活躍(?)を見ていただけて嬉しいです笑。レス遅くなってすみませんでした! (2016年8月30日 16時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
かぼちゃポンタ(プロフ) - 黒子の締めで笑いました、はい!2見てきます!! (2016年7月26日 14時) (レス) id: b325383cfb (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - スピカ@しののんとmarvelousへの旅さん» 伏線ともいえない伏線もどきは一応張っていたのですが、やっぱりわかりにくかったですよね……すいません!黒子のほかにも謎はたくさん残してあるので、また推理しながら楽しんでいただけたなら幸いです。コメントありがとうございます!! (2016年3月30日 20時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
スピカ@しののんとmarvelousへの旅(プロフ) - まさかの、手伝いが、黒子だったとは、、、 驚きのあまり、十秒間口にポカーンてなってました笑 今まで分からなかったところがわかって、すっきりはしたけど、続きを読むのが楽しみです。 本当黒子とか思いませんでした (2016年3月30日 18時) (レス) id: 5f4212bb8d (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - 狐サマさん» 長いこと引っ張ってきた伏線がやっと表に出たので、私自身もホッとしてます笑。花宮はいい意味で期待を裏切ってくれる存在だと思ってるので、読者様に対してもそう在れたのなら幸いです。コメントありがとうございます! (2016年1月28日 22時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mae | 作成日時:2015年5月12日 22時

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