誘拐:20 ページ24
『あたしは、スキよ』
『好きよ。
……まこと』
耳元でそう言ったのと同時に、Aの真っ白な肌と、浮き出るような鎖骨のラインが視界に映った。
その瞬間、ぷつり、と。
頭の中で何かが切れる音が聞こえた。
どこから湧いたのかもわからない力でAと自分の体を入れ替え、貪るようにキスを降らせる。
突然のことだったがAにとっては想定内だったのだろうか、息を詰まらせることも抵抗することもなく受け入れている。
それでも俺はAの後頭部をしっかりと抑えて離さない。
逃がしてやるものか。
ここまでが全てAの掌の上で転がされていたのだとしても、そんなの知ったこっちゃねぇ。
俺は今コイツが欲しい。それだけで十分だ。
もう止まんねぇんだよ。
「っハァ、ハァッ……」
『んっ……っふ、は……』
双方の息が乱れてきた。
Aはとろんとした瞳を潤ませて俺を見上げる。
くてっと体を預けて息を弾ませるAを見て、ゾクゾクとどうしようもない興奮が体を、脳を駆け巡る。
『んん……暑い……』
既に3つボタンが外されあらわになっている白い肌が、Aが更に襟を大きく開くことで広がった。
俺は躊躇うことなくそれに吸い付き、真っ赤な跡をつける。
幾つか咲いたそれは少し赤らんでいるAの肌によく映えて。
まるで何かの芸術品であるかのようだった。
俺はまだ赤に染まっていない場所を探し、求める。
……ああ、まだあった。首筋はまだ空いている。
唇を当てて、気付いた。
"コイツ、熱すぎるんじゃねえ?"
火照りを持っている俺の唇よりも尚更熱い。
少し動いたから上がったと言えるような体温じゃない。
勢いよく体をを離し、Aを見ると、顔が苦しげに歪み、呼吸でさえ辛そうだ。
瞳が潤んでたのは、体が辛かったから。
抵抗もしなかったのは、できなかったから。
体が熱かったのは、本当に熱があったから。
ここ数分のAの行動すべてにあらわれていたのだ。
「お前っ……!
なんで体調悪ぃのにこんな無茶してんだよ!」
『…だ、…いじょぶ、よ……これくらい……』
「どこが大丈夫なんだよこのバカ!」
『……っさい、わね…』
俺は今自分がしていたことも忘れ、Aをソファに真っ直ぐ寝かせる。
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Mae(プロフ) - かぼちゃポンタさん» コメントありがとうございます!!メインの2人以外にも結構時間を割いているので、そんな風に黒子の活躍(?)を見ていただけて嬉しいです笑。レス遅くなってすみませんでした! (2016年8月30日 16時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
かぼちゃポンタ(プロフ) - 黒子の締めで笑いました、はい!2見てきます!! (2016年7月26日 14時) (レス) id: b325383cfb (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - スピカ@しののんとmarvelousへの旅さん» 伏線ともいえない伏線もどきは一応張っていたのですが、やっぱりわかりにくかったですよね……すいません!黒子のほかにも謎はたくさん残してあるので、また推理しながら楽しんでいただけたなら幸いです。コメントありがとうございます!! (2016年3月30日 20時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
スピカ@しののんとmarvelousへの旅(プロフ) - まさかの、手伝いが、黒子だったとは、、、 驚きのあまり、十秒間口にポカーンてなってました笑 今まで分からなかったところがわかって、すっきりはしたけど、続きを読むのが楽しみです。 本当黒子とか思いませんでした (2016年3月30日 18時) (レス) id: 5f4212bb8d (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - 狐サマさん» 長いこと引っ張ってきた伏線がやっと表に出たので、私自身もホッとしてます笑。花宮はいい意味で期待を裏切ってくれる存在だと思ってるので、読者様に対してもそう在れたのなら幸いです。コメントありがとうございます! (2016年1月28日 22時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2015年5月12日 22時