【花宮真が誘拐されました。】

誘拐：41 ページ48

協力者は黒子テツヤである、という考えに最初に至ったのは、１日目の夜、つまりAと会ってからすぐのAが夜飯を作りに行って１人になった時だ。

俺に恨みがあるヤツを大きく分類すると、

・バスケ関係の奴

・喧嘩で負かした奴

・成績で負かした奴

・恋愛？で負かした奴(彼女を盗られた、だのそんな感じの)

・etc……

ざっとこんなもんだろ……って多いな。どんだけ恨まれてんだ俺は。

Aには｢やらされてる感｣はなかったし、主体はA、その協力者が少なくとも１人と考えるとだいぶ範囲は狭まる。


まず喧嘩云々の線はなくなる。こんな誘拐とか起こさなくても普通にボコればそれでいいしな。第一、一回負かした奴は弱味を握ってあるから不可能だ。
復讐に来たー、とか怠いし面倒だし。


成績で負かした奴は……もう三年だし、今更？という感じもする。今までの人生において成績で首位を譲ったことはないが、俺だったらそんな奴いたら早々に渡り合うのを諦めて自分の勉強に励む。
可能性があるとしたら瀬戸だが、……あれ？アイツっていう線もあるかもしれない、のか？
……いや無いな。瀬戸がどんなポーカーフェイスでも俺に隠してこんなことができるとは思えない。


恋愛？関係の奴だったら、Aと組む意味がわからない。
だとしても最初に登場して「よくも俺の女を……」みたいに始まるだろう。この可能性も低いと考えよう。



さて、残るはバスケ関係者だが……これも、可能性が高いとは言いきれねぇんだよなぁ。っていうか、こんなこと企むような人なんて、頭に浮かぶのは今吉さんくらいなんだが。
恨み持ってる奴は沢山いるはずだけど、まぁAと組むような素っ頓狂な奴なんているんだろうか？
一番俺を恨んでいそうな奴は……？
中学の時のアイツとアイツと……○○高校のアイツと、……ああ、あと、


誠凛かな。

11番とかオマエ呼ばわりしてきたしな。アイツ何考えてるかわかんねぇからな……取り敢えず候補だ、候補。




こんな感じで。




次に思い付いたのは、その次の朝、Aが出掛けて、俺が部屋を散策してた時。
黒子がミスをしたといったらこの１回だけだろう。
あの時黒子は確かに部屋の前を通り、床板を鳴らしてしまった。俺が耳を潜めているのがわかってつい反射的に気配を完璧に消してしまった。
それが命取りだった。
俺から気配を完全に隠せる奴なんてコイツくらいなのだから。

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