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誘拐:31 ページ38

だがそれも予測さえ出来れば、



避けることなど造作もない。









咄嗟に膝を曲げ上体を下げると、顔面目掛けて飛び込んできた針はカツカツと小気味よく壁に刺さった。
休む間もなく、続けて第二、第三撃が角度をつけて飛んでくる。
この低い体制から移れる動きは何も無い。


が、


体を動かせないなら、「何か」を盾にすればいい。









俺は戦闘に入る前に本棚の影に隠しておいたバスタオルに手を伸ばし、被るようにそれを広げた。



『!』



凶器、針と言えど所詮はマチ針程度の大きさだ。
勢いよく振り回したタオルに当たったそれは、刺さることもなくパラパラと落下した。






1つ残らず落ちたそれを確認した俺が顔を上げ、次に見たのは、Aが俺に向かって大きく右腕を振りかぶっている所だった。














ゴスン―――――――重たい音が響く。













「ッ!……っと、」



首を逸らして避けた。
そのまま右手を軸に体を回転させてAの対角に移動する。
その最中にもAの鋭い回し蹴りが背中を掠め、肝を冷やした。


見れば、Aの右手は壁にめり込んでいて、先程の重い音はAが思い切り壁を殴った音であったことに気付く。
無言で立ち上がりこちらを振り返るAの右手からは血が流れ、目は少し前に喋っていた時とは比べ物にならないような凶気を含んでいた。





両足の枷が嫌な音をたてた。




鎖が長いせいで不自由なく動けているが、それもAが気付いて対策をしてしまったら終わり。時間の問題だろう。








ふ、とAが重心を倒れそうな程前に傾ける。

思わず手を伸ばしかけたが、腰、膝、それよりも下から突如現れたAの血だらけの拳で、そんな気も一瞬で消える。



体制を崩しながら放たれた鋭い拳は顎を掠め、宙空に高々と突き刺さった。



外れたことを意にも介さず、Aは次々と拳を繰り出す。



右、左、右、左、左、右……、


絶え間なく迫り続ける手を、見切り、避け、躱し、流し、その全てを捌く。


脇腹に向かって突き出された左手を受け止め、俺の手の平とAの握りこまれた左手がぶつかって乾いた音が響いた頃に、ようやくAは一歩、二歩と軽いフットワークで後退した。



その位置からも針の攻撃が飛んできたが、これも脚で針の横を薙ぎ払って防ぐ。





Aは俯いていて、表情は窺えない。

誘拐:32→←誘拐:30



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Mae(プロフ) - かぼちゃポンタさん» コメントありがとうございます!!メインの2人以外にも結構時間を割いているので、そんな風に黒子の活躍(?)を見ていただけて嬉しいです笑。レス遅くなってすみませんでした! (2016年8月30日 16時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
かぼちゃポンタ(プロフ) - 黒子の締めで笑いました、はい!2見てきます!! (2016年7月26日 14時) (レス) id: b325383cfb (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - スピカ@しののんとmarvelousへの旅さん» 伏線ともいえない伏線もどきは一応張っていたのですが、やっぱりわかりにくかったですよね……すいません!黒子のほかにも謎はたくさん残してあるので、また推理しながら楽しんでいただけたなら幸いです。コメントありがとうございます!! (2016年3月30日 20時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)
スピカ@しののんとmarvelousへの旅(プロフ) - まさかの、手伝いが、黒子だったとは、、、 驚きのあまり、十秒間口にポカーンてなってました笑 今まで分からなかったところがわかって、すっきりはしたけど、続きを読むのが楽しみです。 本当黒子とか思いませんでした (2016年3月30日 18時) (レス) id: 5f4212bb8d (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - 狐サマさん» 長いこと引っ張ってきた伏線がやっと表に出たので、私自身もホッとしてます笑。花宮はいい意味で期待を裏切ってくれる存在だと思ってるので、読者様に対してもそう在れたのなら幸いです。コメントありがとうございます! (2016年1月28日 22時) (レス) id: 56d5d2ac75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mae | 作成日時:2015年5月12日 22時

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