385.多田野くん誕生日 ページ44
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「いらっしゃいま…うわ出た」
成宮「出たって何?」
バイト先にまた突如現れた成宮くんに思わず本音が溢れると、目ざとく詰め寄られる。
その後ろに申し訳なさそうに立ってるのは、
「多田野くん!いらっしゃいませ!」
多田野「お久しぶりです」
成宮「俺の時と全然接客態度が違う!」
「お客様は常連なので大サービスで塩対応でーす」
成宮「店長こいつクビ」
「申し訳ありませんでした!」
頭をさげると成宮くんは多田野くんと2人ならんでカウンターに座る。
私にこっそり「すみません、鳴さんが」と言うあたり、やっぱり多田野くんは天使だ。
「今日はどうして2人で?」
成宮「や、今日こいつ誕生日なんだけどさ」
「え!?そうなの!?おめでとう!」
多田野「ありがとうございます」
成宮「で、エース様のおごりってやつ?」
「ほら、俺って先輩だし?」とドヤ顔が腹立つ成宮くんを真顔で見つめていると、隣の多田野くんはほんとにニコニコ嬉しそう。
「多田野くん、私にも何か奢らせて?」
多田野「え!?いいですそんな!」
成宮「じゃあそこのコンビニでラムレーズンのハーゲンダッツ」
多田野「それ完全に鳴さんが好きなやつでしょ!」
「樹、黙っててよー。もうちょっとで奢ってもらえたのに」と多田野くんを睨む成宮くんの頭を軽くメニューで叩く。
成宮「杉本にはお願いがあってきたんだよね」
「え?お願い?」
成宮「そ!」
多田野「鳴さん…!いいですからほんとに!」
成宮「樹のために、これ着てもらいたいなーって」
成宮くんが鞄から取り出したのは、赤いチェックの制服を可愛くしたようなアイドル衣装。レンタルしたとかなんとか言ってるけど、私はそれに絶句。
多田野「…僕、AKBが好きで…」
成宮「どう?俺の周りの子で1番似合いそうなの杉本だなーって思ったから!あ、見た目だけね!」
「強調すんな!……いや!着ないよ!?」
成宮「うわー樹かわいそー」
「すみません」と謝ってる多田野くんだけど、その目はどう見ても期待に満ちている。
私は逃げ切れず、しぶしぶ「後でね…」と頷いた。
☆
☆
Happy Birthday !!! Itsuki.T.
☆
「……スカート短っ!!」
成宮「あはは、馬子にも衣装ー」
「殴る」
多田野「……すごい似合います!」
「……誕生日おめでとう多田野くん!!」←ヤケクソ
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