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「お疲れ様ー」と春乃ちゃんに挨拶して部室を出ると、マフラーに顔をうずめながら帰路につく。
かじかむ手をコートのポケットに突っ込みながらぼーっと歩いていると、後ろから抱え込むように誰かに抱きつかれた。
「うわぁぁ！！」
金丸「…色気のねぇ叫び声っすね」
「…信二」
金丸「呼び捨てしないでもらえます」
「どうしたの、待ってたの、信二」
金丸「聞いてます？俺の話」
振り返れば、私を待ってたのかほんのり鼻の頭が赤い金丸が私に後ろから優しくぎゅっと抱き着いていて、びっくりして見上げる。
「なになにー？甘えん坊カネマールかー？」と笑いながら肩をペシペシ叩けば、後ろから私の肩に顎を乗っけた。
「…ぅおいおいおい…どうしたの」
金丸「……甘やかしてくれないんですか？」
「……………や、やだなぁいっつも私が絡んだら嫌がって逃げるくせに！！」
金丸「嫌がってません。照れくさいだけっす」
「先輩かわいーから」とらしくもないことを言い放つ金丸にカウンターを食らって「うぐっ！」と息を飲む。
抱きしめられたまま体をガッチガチにしていると「うわ、抱きしめられ慣れてない感がすごいですよ」とバカにしたような声が耳元をかすめた。
「いや、慣れてないし実際………」
金丸「うわー、かわいー」
「こんなの！こんなのおかしい！いつもと立場が違う！！」
金丸「顔あっかー」
「金丸！！いい加減にしないと殴るよ！？」
金丸「ハッどーぞ？」
私の全力拒否を鼻で笑う金丸に、かぁーっと身体が火照る。なすすべなくうろたえているけど離される気配もないので鞄からすばやく下敷きを取り出して金丸の頭を叩く。
金丸「ってぇ…」
「殴っていいって言ったよね！？」
金丸「いや、抱きしめられてガチで叩く奴がありますか」
「いきなり部活の仲間を抱きしめる奴がありますか！？」
金丸「どの口が……」
金丸はキレかけながら私のほっぺを掴むと、「これに懲りたら2度と抱きついたりしないでください」と冷静に諭した。
☆
☆
自業自得 因果応報
☆
金丸「いきなり抱きつかれる方の気持ちがこれでわかりましたか」
「……素直な信二可愛かったなぁ〜」
金丸「……は？」
「甘やかしてくれないんですか…？とかぁあ！きゃー！超可愛い！！いいよ！お姉さんが甘やかしてあげる！」
金丸「……」←呆れ
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