346.↓女の子の事情 ページ5
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※月1の女の子の日のお話です。その手の話が苦手な方はUターンでお願いします!
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どんより曇った空の下、一人で黙々とボールを拭く。
現在進行形で、下半身が重い上にちょっと頭まで痛い。
私が深々とため息をつくと、「A…大丈夫か?」とノリがランニングを終えてタオルを取りにやってきた。
川上「顔色悪いけど…」
「ほんと?」
川上「無理しないで辛かったら帰れよ」
「あはは…ありがとう」
「でも大丈夫だから」とノリに苦笑いで答える。
「風邪?」と心配そうなノリだけど、私はすでに、この原因は風邪じゃないのはわかっている。
本日、俗に言う「女の子の日」2日目だからだ。
唯「Aー。薬持ってたわ。飲む?」
「わ、ありがと。唯」
唯「Aいつもそんなに辛そうじゃないのに…珍しいね」
「なんか今回は津波レベルの…」
唯「私がボール拭いとくから、Aは部室で縫い物してて?ね」
「ありがと……」
唯に薬の入ったポーチを貰って、雑巾を彼女に渡すとゆっくりと部室の方へ踵を返す。
と、まだそばにいたらしいノリが私の顔を見て顔を真っ赤にしている。
川上「ごめんA……察せなかった…」
「……………あはは!いいよー!ノリはもはや家族みたいなもんだし、むしろ『お赤飯炊かないと!』ぐらいの反応してよ!」
川上「いや、俺、Aのお母さんじゃないし…」
約10年間一緒にいて、こういう話をするのは初めてなのでちょっと照れて困ってしまったらしいノリに苦笑いしながら「じゃ、練習頑張ってね」と部室に行きかけると、ノリが優しく私の手を掴む。
川上「A、今日駅まで送ってく」
「え……いいよそんな!風邪とかじゃないんだし」
川上「Aがふらふら歩いてたら俺が心配だから」
「…ノリ大好き」
川上「あーはいはい…」
優しいノリに思わず抱きつけばあしらうように頷いてぽんぽんと軽く私の頭を撫でる。
ノリの優しさで少し復活してとぼとぼと一人で部室に入ると、倒れこむようにパイプ椅子に座る。
「……あー………早く終われ…」
☆
☆
なんてったって女の子
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唯「あはは、川上くん女の子の日だって聞いただけで照れちゃうんだ」
川上「だって普段、Aを『女の子」って改めて感じることないからさ…」
唯「Aが泣くぞー」
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