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「うわぁ…小湊家ご立派ぁ」
川上「きれいな家だねぇ」
ノリと並んで小湊と表札のかかった大きな家を見つめる。可愛い春っちに会えるということで、意気揚々とインターホンを押せば、亮介さんそっくりのお母様が出てきた。
「こんにちは、春市くんいますか?」
川上「野球部で一緒の者です」
「あらあらまぁまぁ…わざわざ来たの?ちょっと待っててね?」
お母様は見た目通りすごく優しくて、嫌な顔一つせず私たちに挨拶してくれる。
春っちを呼ぼうと中に入ると、入れ違いですぐに出てきたのはまさかの亮介さん。
亮介「母さん、追い返していいから」
「ちょっと亮ちゃん」
「ちょ、亮介さんひどい!!あけましておめでとうございます!」
亮介「はいおめでと。さよなら」
「ひどい!亮ちゃんひどい!」
亮介「次亮ちゃんって言ったら、杉本の黒歴史晒しあげるからね」
「ごめんなさい」
亮介さんはお母さんを中に入れると、「何しに来たの」と私とノリを交互に見つめる。挨拶回りと伝えれば「新年早々バカだね」と辛辣な言葉が返ってきた。
亮介「川上もこんなのに付き合ってないで…」
「うわ、亮ちゃんひどい」
亮介「はい晒しあげ決定」
「勘弁してください!!」
春市「何やってんの兄貴に先輩たち……」
私と亮介先輩の言い合いが聞こえてきたのか、春っちが困った顔でひょこっと顔をのぞかせた。私とノリに「あけましておめでとうございます」と頭をさげると亮介さんの隣に並ぶ。
「春ちゃん、あけましておめでとう」
春市「なんですか気持ち悪い」
川上「おぉ…ブラック」
「亮介さんに気持ち悪いって言われるのはいいけど、春っちに言われるとクルね……」
亮介「気持ち悪」
「いや、なんで!?」
なんで新年早々そんなに「気持ち悪い」と言われなきゃいけないのか、半泣きでノリにすがりつくと、春っちが「あ」と思い立ったようにポケットを探って「あげます」と私に差し出した。
「……なにこれ」
春市「縁結びのお守りです」
「……え、くれるの?」
春市「はい。兄貴と割り勘で買ったので」
「うわぁ!ありがとう!」
私はまさかのお年玉に感激しておまもりを受け取った。
☆
☆
小湊家と新年
☆
亮介「ま、せいぜい神頼みでもして男でも作りなよ。無理だと思うけど」
春市「困った時の神頼みですよ、先輩!」
川上「わーよかったなA。これで俺も安心だよ」
「3人ともバカにしてんでしょ!」
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