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「きゃー!千葉だー!海だー!」
川上「埼玉海ないしね」
「えー…倉持のおたくは…」
川上「なんで知ってんの、住所」
「年賀状書くからって聞いたの」
メモを見ながらノリと2人並んで来たこともない千葉の街を歩く。倉持にメールしたら「家にいるけど」と帰ってきたので、2人で倉持の家に向かう。
「ここだ」
川上「失礼のないようにしろよ」
「大丈夫。みかん持ってきてる」
マンションの一室。表札に「倉持」って書いてあるから間違いない。ピンポーンとインターホンを押すと、「はーい」と人の声がする。
がちゃっと開いて出てきたのは、おじいちゃん。
「こんにちは、洋一くんと同じ部活の…」
「洋一!!!彼女がきたぞ!!」
「え?」
倉持「あ!?」
興奮したような声を上げるおじいさんに、倉持が奥の部屋からなにごとかといった顔で出てくる。
倉持「杉本にノリ…?」
「あけおめ!」
川上「ごめん、Aが挨拶行きたいとか言って」
倉持「…暇かよ」
「暇暇、超暇」
倉持「つーかジジイ、こいつ彼女じゃねーから」
「こんな孫ですが根はいい奴なのでこれからも仲良くしてやってくださいねぇ。洋一、こんな可愛い子ひっかけて…」
倉持「おい!聞いてんのかジジイ!!」
おじいさんと握手をして「こちらこそー」なんて笑っていると「お前も乗るな!!」と頭を叩かれた。
綺麗なお母さんまで出てきたので、倉持が面倒くさそうに私とノリを部屋から追い出す。
パーカーのポッケに手を突っ込んで「…何しに来たんだよ」と私とノリを歩きながら睨む倉持に「新年の挨拶」と言えば「帰れ」と言われた。
「あ、これみかん。お裾分け」
倉持「埼玉からわざわざお裾分けくる奴があるかよ」
川上「正論…」
倉持「ノリもこんなバカに付き合ってねーでさぁ…」
ノリにも呆れたように言う倉持を、足の先から頭のてっぺんまで見ていると「なんだよ」と睨まれる。
「いや、ジャージじゃないの可愛いなーと思って」
川上「新鮮だよね」
倉持「………るっせ」
「照れんなって倉持!」
川上「A、殴られるよ」
☆
☆
殴られました
☆
倉持「っつーか、絶対ジジイ勘違いしたままだろ」
「あはは、勘弁してよ」
倉持「てめぇが否定しねぇせいだろうが…!」
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