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「……なんか私痴女みたい……」
御幸「ぶっ！！」
部活を終えて、ぶつぶつ呟いている私の隣で防具を取っていた御幸が、私の言葉に盛大にふきだした。
だって、誰にでも場所を気にせず抱きついてるし……ただの尻軽女か痴女だ。思いつめる私に「ま、お前の印象なんて元からタカが知れてるから今更だよ」と何でもないように返す御幸。
「やっぱり誰もいないところで内密に抱きついたほうがいいのか……」
御幸「それこそ怖えよ」
渡辺「杉本」
「お、ナベ、お疲れ」
渡辺「おつかれ」
相変わらず可愛いナベが私の方に駆けてくる。
私に笑顔で「おつかれ」というと、「これ、見たいって言ってた試合のDVD」とディスクを渡してくれた。
「ありがとー。見たら部室に返しとくね」
渡辺「ん。よろしく」
ナベはにこっと微笑んだあと、立ち去ることなくじーっと私を見つめる。
「…やだナベ、そんな見つめてもなにも出ないぞ♡」
御幸「きもちわり」
「おいこらメガネ」
渡辺「や、杉本、なんか今日雰囲気違うなって………前髪切った？」
「わ！気づいた！？ナベしか気づかなかったよ！！」
御幸「あー言われてみれば」
興味なさそうに私の顔を覗き込む御幸と、「やっぱり」と笑うナベ。
さすが、ナベは人のことよく見てるなぁと嬉しい気持ちでホクホクしていると、ナベが照れくさそうに小さく笑って言う。
渡辺「可愛いよ」
「………………！」
御幸「痛えよ」
ナベのまさかの褒め言葉が、私の胸にズキュンと刺さり、隣に立っていた御幸の腕をべしっと叩く。
ほわぁーっと嬉しさに浸る私に、ナベは照れたのか、「じゃ、お疲れ」と足早にその場を去ろうとする。
「ナベのほうが可愛いよ」
渡辺「え、ちょ、杉本」
立ち去るナベの背中にかばっと抱きつくと、ナベが慌てたようにこちらを振り向く。苦笑いするナベ。
☆
☆
抱きしめて連れて帰りたいかわいさ。
☆
「いやいや、その辺の女子より数倍可愛いよ」
渡辺「ちょ、あの、杉本怖い」
御幸「おい、痴女。ナベを襲ってんじゃねぇよ」
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