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「じゃ、春乃ちゃんまた放課後にー」
春乃「はい!お疲れ様です!」
1年生の教室の方に行く春乃ちゃんにひらひらと手を振って、2年の教室の方へ向かう。階段を上がっていると、目の前には見慣れた後ろ姿が歩いている。
私はごくりと息を飲んでそーっと彼に背後から近づくと、勢いをつけてガバッと飛びつく。
でも、器用に避けられた私のタックルのようなハグは外れ、勢い余った私はズテンとずっこけた。
「………っいったぁー」
亮介「おはよ」
「……おはようございます」
亮介「朝っぱらから何さかってんの?」
「さかってません!!」
ちゅーっと苺みるくを飲みながら私を見下ろす亮介さん。
「ハグをしてドッキリしよう」と決めた時、1番の強敵になるだろうなぁと思っていたのが彼であり、やっぱり強敵だ。
亮介「やるならもっと上手くやりなよ」
「…出直します」
亮介「まぁ、何回来ても避けるけどねー」
うなだれる私に亮介さんは楽しそうに笑うと、「あ」と呟いた。そして私の眼の前にしゃがむと、階段を上った先を指差す。
亮介「杉本、面白そうだからアレにハグしてきてよ」
「はい?」
亮介「倉持」
「………」
隣のクラスの男子と楽しそうに話している倉持を見ながら言う亮介さんに、「倉持は、変な誤解されそうなんで2人の時にしようかと…」と呟けば、「2人きりでやったらますます怪しいよね」と正論を言われた。
「……確かに」
亮介「アイツを赤面させたら牛乳奢ってあげるから」
「やります!」
亮介「ちょろ」
亮介さんが楽しそうに倉持をこっちに呼ぶと、倉持が「なんすか、亮さん」と駆けてきた。
亮介「杉本が用あるんだって」
倉持「…いや、どうせ教室で会えるだろ」
「…倉持」
亮介さんに顎でくいっと「いけ」の合図をされて微妙な顔をしている倉持に正面からぎゅーっと抱きつくと、倉持がぴたっと止まる。
「は」と戸惑う声が聞こえて、そーっと見上げればパチンと目があって、倉持の顔がだんだん赤くなっていく。
亮介「あはは、倉持顔赤」
倉持「何すんだお前、おいコラ」
倉持はハッと気がついたように顔を赤くしたまま私の顔をガシッと掴んで人を殺しそうな目で睨みつけた。
☆
☆
照れ隠しが危険
☆
倉持「おい、ふざけてんなら今すぐやめろ」
「いや、これは亮介さんが…!」
亮介「じゃ、俺教室戻るねー」
「亮介さーん!!」
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