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前園「杉本〜一緒に歌おう、な？」
「やだ」
前園「そう言わずに、機嫌なおせって〜な？」
「………」
隣で私の機嫌を必死にとってくるゾノを尻目に、カラオケに来てまで悠々とスコアブックを読んでやがる眼鏡を睨む。
爆笑しながら私のハニーフラッシュを撮って、稲実に流出させた。
前園「御幸に怒っとるんか？」
「当たり前やろ。スコアブックなんて読んでスカしやがって…」
前園「そういや御幸、全然歌っとらんなぁ」
東条のももクロをBGMに、
ゾノが私の隣で御幸に「歌わんのんかー？」と聞くと、
御幸は「俺？」と自分を指差して「あんま好きじゃねぇんだけど」と文句を垂れる。
私とゾノは顔を見合わせて「もったいないよー」「歌わんとな！せっかくやし！」と御幸に無理矢理マイクを持たせる。
静かに携帯でビデオを撮り始める私。
御幸「これ誰が入れたー？」
沢村「俺っす！」
御幸「あー沢村ならいいか」
沢村「はい！？」
「俺歌うから」と沢村に一言断りを入れると、綺麗な前奏が流れ始める。
私は携帯を構えたまま「ん」と眉間にしわを寄せる。
御幸「かーがーやーくーほーしーにー」
「………」
前園「………」
「………は、うま………」
前園「……反則やろ、おかしいやろ」
ディズニーの星に願いを。
無駄にいい声をしている御幸は、普通にめっちゃ歌が上手いし、更に選曲が神がかっているので、完全にディズニーに出てくる王子様だ。
きゃっきゃと色めき立っている他マネちゃんズを苦々しい顔で見てから、隣に座っているゾノと目を合わせる。
御幸「星に祈ればー寂しい日々もー……わっちょ！何すんだよ…」
「死ねお前！！！！」
前園「何や！歌も上手いし、選曲も完璧とか俺たちを追い詰めたいんやな！そうなんやな！」
「………っこのっ！イケメンイケボ天才キャッチャー！！」
金丸「A先輩、それ褒めてしかいません」
演奏中止ボタンを押して無理矢理終わらせた私とゾノは御幸にブーブー文句を言う。
御幸は苦笑いでマイクを机の上に置くと「お前らが歌えって言ったんだろ？」と私とゾノの頭を順番にスコアブックで叩いた。
☆
☆
それは反則でしょ
☆
「御幸ファンに売ったらすごいお金になりそうな動画が撮れちゃった」
御幸「いやクラスメイト売るなよ」
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