譲れないから【his view】3 ページ16
恐らく昨日のそこそこ君が言い触らしたのだろう。
翌日には俺とAが付き合っていると言うのが里中の噂になっていた。
そんな噂がA本人の耳に入らない訳もなく、日暮れに出会したAが怒り顔で近付いてきた。
「カーカーシー!!どーすんのよっ!!」
「うーん、参ったねぇー。」
「あんたねぇっ!!」
上忍ベストを掴んでユサユサ揺らすAにアハハと笑って見せれば、眉間に皺を寄せて「どーすーるのよー!!」と更に激しく揺さぶられた。
「よォ、金銀コンビ。相変わらず揃うと騒々しいな。」
「「それ止めて」」
「んだよ、息ピッタリじゃねぇか。」
パッと俺のベストから手を離したAが、面白そうに声を掛けてきたアスマの方にちょっと聞いてよ!と詰め寄っていく。
あーしまった。
これは少し面倒になりそう。
そう思ってゆっくり気配を消してその場から姿を消そうとしたのに、ニヤニヤ笑っているアスマに肩を捕まれた。
「なーに逃げてんだよ、ぎーんさん。」
「そんな奴、俺は知らない。」
「まあまあ、今晩ちょっと付き合え!じゃーな、金さん、コイツは俺がもらってくなー。」
「はぁ!?金さんって誰よ!アスマ、私の話し聞いてた?ねぇ、ちょっとー!!」
背後で叫ぶAにヒラヒラ手を振って歩き出すアスマの逞しい腕が肩に回っていて、逃げようのない状況に溜め息を吐いた。
馴染みの居酒屋のカウンターに並んで腰を下ろせば、それはそれは新しい玩具を手にいれた子どもの様な表情のアスマが俺をニヤケ顔で見詰めていた。
「……何。」
気持ち悪いよとジロリと睨みながら言ったのに、アスマはニヤニヤ顔を止めない。
「いいやぁ?別にー?お前らいつからそうだったのかなーって思ってよォ。」
「あんな噂信じるわけ?」
「噂なんてどーでもいい。因みにAからさっき聞いたからそれが嘘なのも分かった。」
「なら、それでいいじゃない。」
「よかねぇーよ!カカシ、お前……Aの事好きだろ。」
「馬鹿じゃないの。」
「はぁ!?」
跳ねた心臓を隠すように即答した俺にアスマは訝しげな顔で紫煙を吐く。
「Aはただの同期。昨日は読書の邪魔だったし、ちょっと困ってたから助けてやっただけだよ。」
アスマに言いながら、自分にもそうだろ?と言い聞かせる。
そんな風に言い聞かせる事に意味があるか無いかなんて分からないけど、そうでもしなきゃやってらんない。
譲れないから【his view】4→←譲れないから【his view】2
347人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
テン(プロフ) - かなさん» かなさんコメントありがとうございます(*^^*)そう言って頂けてとても嬉しいです!亀更新で申し訳ないですが、これからも楽しんで貰えれば幸いです♪ (2022年4月29日 2時) (レス) id: c0a1965786 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - とても面白いです!応援しています(^^*) (2022年4月16日 5時) (レス) id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - sayyさん» sayyさんコメントありがとうございます。亀更新で申し訳ありません^^;とても励みになりました!続きは気長にお待ち頂ければありがたいです(*^^*) (2021年9月27日 21時) (レス) id: 7837fbad55 (このIDを非表示/違反報告)
sayy - カカシが可愛い!応援してます!頑張ってください! (2021年9月23日 21時) (レス) @page37 id: 694cb4f9d7 (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - キーさんさん» キーさんコメントありがとうございます。確かに最近ナルト作品少ないですよね(^^;ナルト君達も出していけるように頑張りますね♪応援ありがとうございます(*^^*)とっても嬉しいです。 (2021年2月14日 12時) (レス) id: 3d6ac160d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:テン | 作成日時:2021年2月6日 22時