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「いいぞ!ポッター!!!」
ハリーが見事に呼び寄せ呪文を成功させてファイアボルトに跨ると、今まで「汚いぞ、ポッター」バッジを付けていた連中でさえ、手のひらを返して彼のことを応援し始めた。しかしAはふとした瞬間に、遠くで野次を飛ばしている一人の少年の後ろ姿を見つめていることに気が付いては、自らを心の中で叱責していた。
ハリーがドラゴンに追い掛け回されたあげく場外に飛び出してしまうと、Aの横で心配そうにぴょこぴょこと飛び跳ねていたチョウ・チャンはそっとAの肩を叩いた。誰よりもハリーが代表に選ばれたことを心配していたAが上の空で試合を見ているなんて、きっと何かがあったに違いない。
「ちょっとロン、彼女を見て」
もう一方の隣にいたハーマイオニーはAが何やらぼーっと一点を見つめていることに気が付くと、控えめにロンに囁きかけた。その頃彼はハリーの行方を必死に万眼鏡で追いかけている最中だったのだが、彼女の様子にすっかり仰天してしまった。
「おいおい、Aが見つめてるのって…」
「ええ。私も彼だと思うわ」
ロンは生憎ハリーと口を利いていなかったので、Aとマルフォイの間にひと悶着あったことなど微塵も知らなかった。ハーマイオニーだってあの後彼女とマルフォイの間にもう一つエピソードが加えられていたなんてことは流石に知らない。
てっきりAはマルフォイのことが嫌いになってしまったのだと思っていたわー。
「まあ、ハリーが帰ってきたわ!」
チョウの叫び声でようやく我に返ったAは、気を取り直して彼を応援し、ハリーが卵を獲得すると涙を流しながら喜んだ。それを見たロンとハーマイオニーは、彼女の心情についてあらぬことを考えるのをすっかり辞めてしまった。
Aとマルフォイは、昨日のことなんてまるで忘れたかのように、また口を利かなくなっていた。
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悠 - 最近この小説を知って面白くて読んでます!貴方様の小説すごく面白いのでゆっくり待っています!頑張ってください! (2021年2月20日 21時) (レス) id: e6d54d0e11 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - すごく面白いです!!!たのしみです (2021年1月13日 1時) (レス) id: 50dc2b53cf (このIDを非表示/違反報告)
梨雪(プロフ) - ピンクジョイさん» ありがとうございます(T_T)励みになります...!もう少々お待ちください...( (2020年12月29日 7時) (レス) id: 9863b06866 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクジョイ(プロフ) - すごく面白くて読みやすいです!更新遅くてもいいので続き楽しみにしてます^^* (2020年12月11日 16時) (レス) id: eb4e569138 (このIDを非表示/違反報告)
梨雪(プロフ) - tokitaさん» ありがとうございます(T_T)最近忙しくて思うように更新出来ていないのですが必ず続き出します、、、!!! (2020年11月28日 18時) (レス) id: 1aa1f35963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨雪 | 作成日時:2020年8月29日 10時