紫陽花による薔薇短編集。【BL】

推し活 ページ3

ヒヨリ視点
「あのッ、い、いつも応援してますッ！」

今日は待ちに待った推しの握手会。
いっぱい申し込んで、見事に一枚引き当てた。

前の方から女の子の声が聞こえた。
徐々に順番が近づいている……

「アンジくんのグッズもたくさん買ってるし、曲もいっぱい聞いてます！！」

そう、俺の推しは有名アイドルのアンジ。
たまたま友人と行ったライブでハマってしまったのだ。

俺は男だけど、そこらの女子並み、いやそれ以上くらいに推しているつもりだ。

今回は6回目の出陣だ。

6回も行ったら流石に覚えててくれるかな。
でも、ファンなんていっぱいいるしな。
最近男の子のファンも増えてきてるし。



認知されてるかな。




「次の方どうぞ。」

スタッフさんに案内され、ついに推しとご対面する。



相変わらずきれいな顔だ。

「こ、こんにちは……」

6回も来てるけど、やっぱり推しと喋るのは慣れない。
でも、こんな俺にも天使級の笑顔を見せてくれた。




「久しぶりー！ヒヨリくん、だよね？」




俺の手が両手でぎゅっと握られる。

「お、覚えてて、くれたんですか……？」

「そりゃ覚えてるよ！6回目でしょ！？」

回数まで！？
なにそれ普通に嬉しい……
思わず顔がほころんだ。

やばい、こんなにニヤニヤしてたら気持ち悪がられるって……
でも、ニヤニヤが止まらない。

「ふふッ、ありがとうございますッ……！」

「ッ……！ううん、こっちこそいつもありがとう！」

ほっぺたが更に熱くなるのが分かった。



今回はちょっとしか話せなかったけど、やっぱり来てよかった。

喋ったあとに胸がほわほわするのは



胸がキュンキュンときめくのは＿＿＿＿＿＿＿








次は、「好き」って言ってみようかな。

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