43:語る物語 ページ44
.
「これがね、私の話せる全部。
でもね、もうさ、お父さんという鎖に縛られなくていい。
お父さんはね、許してくれたよ。」
記憶のパズルは、私の頭の中でひとつの絵になった。
お母さんとお父さん。
それと、私と妹……結菜で一緒に笑ってる絵。
『ねぇ……、結菜は…、なんで、自傷少女が、私って分かったの?』
「……暗い曲、Aが歌ってる声が似てたから。」
あぁ、
『…気付いてくれたんだね…』
ゆっくり口角が上がる。
無理に作った笑いじゃない。
自然だった。
歌を歌ってる時の私じゃない。
満たされた心は私を笑顔にさせてくれた。
「勿論、それに、私にも非があるから」
今度は気付いてあげたよ、そのSOSに。
そう答える結菜。
『ありがとうね…』
「うん…、でもね、突き飛ばしたり、A置いて出てってごめんね。
それでさ、嫌なら断っていいよ。
私、またここに居ていい?」
『………うん、勿論。
また、居ていいよ。』
「……ありがとう。」
今、結菜は一人暮らしだったらしい。
親戚は、結菜を私と同じように、除け者扱いだったらしい。
それを聞くと、今すぐその場に行きとっちめてやりたくなる。
でも、いいや。
『そういえばさ、結菜も。歌い手やってみない?』
「自信ないし、いいや。」
『ううん、結菜は綺麗な声をしてるよ。』
可愛らしい声、鈴みたいな声をしていた。
人気、なれる気がする。
『1回だけでいいからさ、ね?』
「いいけど、歌う機材とかないし、防音室も……。」
『空き地下室に増設させていただきました』
「え」
『明日でいいからさ?』
「……変わんないね」
『変われないの間違えじゃない?』
「変わらない方が私はいいけどね。」
変われない、変われなくても、いいでしょうか?
「いいんじゃないかな。」
『え』
「声、出てる」
『まじか』
「……ふふっ」
『…ふふふっ』
昔の温かさを思い出させる笑い声は、二人を包むように広がる。
久しぶりに笑った気がする。
『改めて、よろしくね?』
「…うん!」
何故だろう、お母さんやお父さんもいる気がするや。
いや、きっと近くにいるんだろうな。
128人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みつ豆サブ(プロフ) - 猫好きのミンティアさん» 無痛症あるんですか!教えていただきありがとうございます!続き早めに更新します! (2017年12月7日 16時) (レス) id: a8ae1c5830 (このIDを非表示/違反報告)
猫好きのミンティア - うろ覚えですが痛覚欠落障害に似たようなもので無痛症というものがありますよ!続き正座待機してます)^o^( (2017年12月7日 14時) (レス) id: 032370afdf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みつ豆 | 作成日時:2017年11月1日 21時