風柱、行方不明につき。【鬼滅の刃】

捜索卅玖 ページ39

なにしろ目的である風柱様にも会ったから。



隠として仕事も終わってもいい。
元々不純な動機で入ってしまったのだから申し訳なくて仕方がなかった。




「………」


無言になってしまう。
必然と表情も暗くなる。



手を伸ばせば抱きつける距離にいる風柱様とも、もう会うことが出来ないんだ。


あたしの目的だった風柱様。





その風柱様が今まで一緒にいたなんて今でも信じられない。
もっと信じられないのはグーちゃんがもういないということ。


ずっと、一緒だったから。













「行くぞ」




そう言って風柱様が立ち上がった。


けれどあたしは咄嗟に風柱様の服を掴んでしまった。







「あっ………」





もう少しだけ一緒に居させて下さい。


……なんておこがましいとこ言えない。








掴んだまま何も話さないあたしを無言で見つめる風柱様。





あたしだって意図した行動じゃないからなんて言うべきなのか、わからないよぉぉぉぉ。









「離せ」




無言が続いたのち、風柱様が顔を背けながらそう言った。








「…すみません…でした…」





そう言うしか無かった。
あたしは風柱様の服を離した。








そうですよね…。
迷惑ですよね。

こんな変な女に掴まれたって気持ち悪いですよね。掴んですみません。





ごめんなさい……もう変な事思ったりしませんから。









「すみませんでした…図に乗って…」


ボソッと呟いた。

恥ずかしすぎて風柱様の顔が見れない。

こんな変な女でごめんなさい……。





一つ分かったことは恋する乙女は、好きな男の人の前ではネガティブになるということ。



困った。
全てにおいてマイナス方面に考えてしまう。





けれど、下に俯いたあたしに風柱様が声を掛けてくれた。














「………違ェよ」




「え…？」






何が違うんですか？


あたしが変な女じゃないってお世辞を？








風柱様に俯いた顔を無理やり上に上げられた。




















「一目惚れした女に掴まれたら、そう言うしかねえだろうが」




あたしの目を真っ直ぐに見ながら風柱様がそういった。







ひ、ひとめぼれ…？？？
なにそれ、どういうこと？？？



あたしの今の脳レベルようちえんじ。








「…は？」




あまりのことにガチトーンで聞き返してしまった。





「は？じゃねぇよぶっ殺すぞ」

「ご、ごめんなさい」






思わず謝った。

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