風柱、行方不明につき。【鬼滅の刃】

捜索卅肆 ページ34

それでもお構い無しに倒すまで攻撃をする金魚。
あたしはフラフラだったグーちゃんを抱えて金魚に背向けて走った。


攻撃もかなりタチが悪くて。
気持ちが悪い上に痛いので最悪。
いや当たり前だな。


「痛い痛いっっ、何この金魚っ。ずっと追っかけてくるんだけど！！グーちゃん大丈夫！？！？」


逃げながらも攻撃をずっとされる。
防御も反撃もできないあたしはきっともうすぐ体力が尽きてしまうだろう。






「グア…」

平気だ、なんて言ってるけれどグーちゃんこれゲームだったら瀕死表示されてるやつだよそれ。


グーちゃんは抱えられているのが嫌なのか、もがいて自分で羽を広げ飛んだ。





「本当に、平気なの？」


傷を見るだけで顔を歪めてしまいそうなくらい、重症なのに。






グーちゃんは返事をしなかった。
きっと言うまでもないと思ってるのかな。









あたしを守ったせいで。


……ごめんなさい。

ごめんなさいグーちゃん。







なんだか自分が情けなく思えてきて泣きたくなった。誰かの足を引っ張ることしかできない自分など守ってもらう価値などないのではないか。



今死んでしまったとしても、あたしは風柱様に会えなかったことくらいしか悔いはない。

けれど、グーちゃんは？




グーちゃんは鳥のまま死んでしまって良いのだろうか？？元は人間なのに。

きっと人間に戻りたくてあたしと共にしていたのではないだろうか。




そう思うとなんだか酷く居た堪れなくなった。
人間に戻してあげた方がいいの…？









「そういえば壺のアイツは…」





金魚しか攻撃してこないので不思議に思って振り返るともうそこにはいなかった。


瀕死のグーちゃんを見て、自分の出番が無くても仕留められると思ったのか壺の変人は消えていた。






だがグーちゃんは羽を仰いで風を起こし反撃。
けれど、この金魚すばしっこくて中々当たらない。








そしてグーちゃんに攻撃。

グーちゃんは反撃。
そして避けられ攻撃される。





これがテンプレになってしまっていた。







羽根が地面に落ち、血痕の跡もある。


けれどグーちゃんは諦めずに何度も何度も立ち向かっている。


その姿はなんだか誰かと重なるような気がして_____。

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