風柱、行方不明につき。【鬼滅の刃】

捜索卅伍 ページ35

グーちゃんが地に足をついた瞬間を狙って金魚が突進してくる。

駄目だ、これ以上グーちゃん怪我を負ったら死んでしまう。



そしたらあたしの体驚くほど速く動いた。
勝手に動くってこういうこと。









今日は新月でも無いし、願ったってあんなに都合よく助けに来てくれるはずがない。




なら自分が盾になればいい。







グーちゃんに背を向けて金魚の攻撃から守る。



そりゃあ怖い。怖いよ。


だけど、ここでグーちゃんを失う方がもっと怖い。














「う"っ……」




予想通り、助けなど無く斬られました。





声を出すまいと噛み締めていた口から声が出てしまった。


直後の痛みはないけれど、斬られた傷口から着物に血が広がっていくのを見た。


ああ、あたし斬られたんだなって自覚。









グーちゃんは？？



グーちゃん斬られてない？



あたしちゃんと守れた？？？？








頭はそう考えるものの、体は斬られた衝動でグラついた。





けれどあたしは盾になれただけであって敵を殺したわけではない。
なのでまた攻撃してくる。



どうしよう。このまま犬死は迷惑だ。


あたしが死ぬ前に、グーちゃん人間にしてあげたい。









あたしと一緒にいてくれてありがとうって。

最後まで迷惑かけてごめんなさいって。









だけど、倒れたあたしの顔を踏んでくるグーちゃん。




グーちゃん痛いって。







起き上がれ、だなんて無理だ…









だから、グーちゃんが_____







覚悟を決めて口を開いた。









「…あたしと、…なんて嫌かもだけど…許してね…？」














次キスをする時はお嫁に行く時だと決めていた。


けれど、グーちゃんのところにお嫁に行くのなら別に構わない。








別に不細工だろうが、不細工だろうが、不細工だろうが…………構わない。

















そう言ったあたしは蛙にキスをしていた幼い頃のように。









グーちゃんの頭を押し寄せてあたしの唇が触れるくらいの口付けをした。
















「…あたし、グーちゃん…のこと、好きだよ」








































「その言葉、忘れるなよ」

捜索卅陸→←捜索卅肆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す