『CRには愛があーる？』第1部

1.私がゲーム病？？ ページ2

A「あのね、宝生くん、、、」


夕日の差す産婦人科のカンファレンス室でAと永夢はぎこちない雰囲気で向かい合っていた。


俯いて言いにくそうにするAに永夢は顔を曇らせる。


A「やっぱり、私、宝生くんとは付き合えない。ごめんね、、、」


申し訳なさそうに笑うAに永夢は思い切り作り笑いをして答えた。


永夢「わかりました！」


A「ホントごめん、、、一か月も引っ張って。」



研修医として産婦人科に回って来た永夢に付き合って欲しいと言われたのはちょうど一か月前。

可愛い研修医。
いい子だったし悪い気はしなかった。でも、恋愛対象では無いなと思ってお断りしてみたが、顔に似合わず押しが強くて、『一度僕と付き合ってみて、それからお返事ください！』って、、、。


それで何となく永夢と恋人同士の様に過ごしてみた。優しくて一緒にいるのは楽しかった。
でも、やっぱりそれ以上の気持ちは湧いては来ない。
だからそろそろちゃんと返事をしなきゃって最近は毎日思うのに、可愛い永夢の笑顔を見ると言い出すことができなかった。



そして昨日の帰り道。



突然、永夢に抱きしめられてキスされた。



思わず、、胸がキュンとなって目を閉じた。
抱きしめられた腕の強さに永夢の気持ちを痛いほど感じて、このままズルズル引っ張ってちゃいけない。そう思って、、、さっき自分の気持ちを永夢に伝えた。



永夢「僕、この一か月、とても楽しかったです。Aさんといい思い出が出来ました！」


A「もっと早く言えば良かったのに、、、ごめんね」


永夢に謝りながらどんどん胸が苦しくなる。



永夢「そんなに謝らないで下さい！あんまりごめんて言われちゃうと僕も立場ないから、、」



永夢にお断りした事への罪悪感だと思ってた。
だけど、もう永夢に作り笑顔さえ出来ないくらいに胸が苦しくて、冷や汗が出てAはしゃがみ込んでしまった。


永夢「Aさん！」


駆け寄る永夢に抱き起こされるが、Aは体に力が入らない。



永夢「まさか！」


永夢はスコープでAをスキャンする。
ビンゴだった。
スコープにはハートマークのアイコンがAの上に映し出された。



永夢「Aさん、落ち着いて聞いてくださいね。ゲーム病です。」


A「私が？」


永夢「そうです」



A「またかぁ、、、」


最後のAの呟きは急いでストレッチャーを取りに行った永夢には聞こえなかった。

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