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逃げる女は足元にあるタンクに躓き盛大に転んだ。その拍子に蓋が開き、中からガソリンがまき出される。恐怖で震える身体はそこから逃げようとしても動けずにいた。
そんな女の後ろからは革靴の音が近づいてくる。
「…来ないで…、もうやめて…」
潜在犯が持っていたであろうライターを彼女は握り締め火をつけ威嚇する。しかし狡噛は銃口を女へと向けた。
「やめてｯ!! もう来んなよｯ!!!」
朱「狡噛さん!! やめてくださいっ、お願いです…彼女は被害者で…」
『対象の脅威判定が更新されました。執行モードリーサル・エリミネーター、慎重に標準を定め対象を排除してください』
「ひ…っ」
朱「……そんな…っ」
狡噛のドミネーターがエリミネーターモードへと変化する。
どうすれば彼女を助けられるのか、朱は必死に頭を回転させながら目の前の状況を変えようとした。
その時、狡噛と目が合う。
彼はーー、笑っていた。
朱「やめてえええええｯ!!!」
朱は引き金をひいた。
狡噛が引くと思っていた亜紀と征陸は予想外の出来事に動揺する。
征「ーーなｯ」
「狡噛ｯ!!!」
亜紀は走り出し、倒れそうになった狡噛を受け止めた。
全身が痙攣を起こし、名前を呼んでも意識は無い。
朱は彼の言葉通り撃ってしまった事に混乱し、その場に崩れてしまった。
その状況に再び慌てる女に向かって朱は涙を浮かべながら訴える。
朱「もうやめて…、そのライターを捨てて。…でないとこの銃があなたを殺しちゃう。
お願い、あなたを助けたいの!! だからライターを捨てて!! 早く!!!」
朱は必死に笑顔を作って女に手を伸ばす。気持ちが通じたのか女はライターを落とし、安堵の笑みを浮かべて朱に手を伸ばした。ーーその時、
「ひぐｯ」
頭上からパラライザーのビームが女に命中した。
朱は女に近寄り、その発射元に視線を向ける。
宜「常守監視官、君の状況判断については報告書できっちりと説明してもらう」
宜野座が冷たい視線をこちらに送りながらドミネーターを構えていた。
「狡噛…狡噛ｯ!! 」
征「….こりゃあとんでもない新人が来ちまったもんだな…」
征陸の呟きは亜紀の狡噛を呼ぶ声にかき消されていった。
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作者名：まっぽ | 作成日時：2015年4月18日 22時
