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狡噛は無線で"執行完了"と言い渡すとまさおか征陸がやれやれといった様子でこちらを見た。
征「年寄りと新米を囮にするたぁ、イイ根性してんな。え？コウ」
狡「…給料分の仕事だろ、とっつぁん」
その様子を尻目に朱は、怯えて身を竦める人質の女性の元へと向かい、優しく語りかけた。
朱「公安局です！ もう大丈夫、安心してください」
「ひ…ｯ!!」
朱「お、落ち着いて！あなたを助けにきたのよ！」
「……いや…、やめて…やめて…」
人質の女性はじりじりと後ずさりをしながら距離を取ろうとする。
朱は女性が自分にではなく自分の後方を見て怯えている事を察し、後ろへと振り返った。
朱「…ま、征陸さん…?」
そこにはドミネーターの銃口をこちらへと向けている征陸の姿があった。
征「お嬢ちゃん、自分の銃で確かめてみろ」
征陸の言葉にまさか…と思いながら朱は恐る恐るドミネーターの銃口を女に向けた。
朱「そんな…っ」
征「まぁ、仕方ないわな」
指向音声からは女を執行するように語りかけられる。朱は今にも引き金をひきそうな征陸の腕に飛びつきやめるよう制した。
女は大声で叫びながら暗闇へと走っていく。
征「何をする!?」
朱「あの人は保護対象です！」
征「そのためのパラライザーだろうが！今すぐ眠らせて確保するんだ！」
朱「彼女は混乱してるだけです！ちょっと待って落ち着かせればそんな乱暴なことしなくても…!!」
「彼女を追います」
朱「…立花監視官!!」
朱は後を追おうとする亜紀に懇願するように顔を向ける。
しかし、そこには先ほどまで笑顔を浮かべていた彼女はいなかった。
朱「……っ、」
狡「亜紀、俺が行く」
「…分かりました。
狡噛執行官、執行を命じます」
冷徹な表情でそう呟く亜紀の隣を狡噛は通り過ぎていく。朱は驚きつつもその後を追いかけようとした。
征「いいか!? ドミネーターはシビュラの目だ！この街のシステムそのものが彼女を脅威と判断したんだ!!
その意味を考えろ！」
朱「だからって何もしてない被害者を撃つなんて、そんなの納得できません!!」
「常守監視官ｯ!!」
征陸の説得を遮り、朱は狡噛が進んでいった道を走り出した。
このまま無事執行できればいいんだけど…
廃棄区画は何があるか分からない。それが更なる危険をもたらす可能性もある。
少し不安に駆られながら亜紀は私達も向かいましょうと伝えた。
そして、亜紀の予感は的中する事になる。
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作者名：まっぽ | 作成日時：2015年4月18日 22時
