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あげない52 ページ9

凜月君はいまだに腕を緩めてはくれない。


「凜月君……、」

呼んでみても逆にぎゅうと腕の力は強まるばかり。


なんだか迷子の子みたい。



「安心して、私はいなくならないよ?」

そう言って彼の背中をぽんぽんと優しく叩いた。


「……本当に?」

顔を私の肩にうずめている凜月君の声は震えていた。


「ほんとに。だから大丈夫。それに歌手復活するかもまだ決めていないしね」


「そう……」


沈黙が私たちの間に流れる。



ああ、これだけは言っておかないと。


「ねえ、凜月君」

本当にうれしかったよ。



「ありがとうね」

私は幸せ者だなあ、だなんて。



「ん」


小さく返事をしたあと、すりと猫のように一度私に頭をこすりつける。

それからゆっくりと離れていった。



「走ったから疲れた、寝る」


「そっかそっか、ありがとう」

思わず笑ってしまった。



私に背を向けて横になる彼は小さい声で言った。


「ねえ、歌ってよ」


「もういいでしょ」


その表情は見えない。



「うん、いいよ」


私を引き留めようとしてくれた彼への精一杯のお礼。



「特別、だからね?」


久しぶりに人に聞かせる歌。


それが楽しいものだと思えたのは君のおかげ。

あげない53→←謝罪*追記あり



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設定タグ:ツキウタ。 , あんスタ , 霜月隼   
作品ジャンル:恋愛
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ゆうくんのストーカーのストーカー - す、すごいとこで止めるじゃねぇですか...面白いです!更新頑張ってください!無理の無い程度で良いので! (2018年4月8日 6時) (レス) id: c392d9b03c (このIDを非表示/違反報告)
凖様大好き - 面白かったです!続き待ってます。 頑張ってください! (2017年8月4日 14時) (レス) id: 3dc5b5c194 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しらうお。 | 作成日時:2017年3月21日 0時

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