Desire39 罪の記憶:3 ページ39
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実質、A・ディザイアが一族を殺したと言っても良い。けれど彼は後悔はして居なかった。間違った事は…何一つ言って居ないからだ。
Aとその母親だけが残された。先程語った、マーレに囚われ自決した青年は…Aの父親であった。
Aと母親だけ残されたのは…Aがかなり古い『ディザイア』であったからだ。つまり、ディザイア一族の中でも、純血中のさらに純血。マーレは躊躇った。
不規則に育つ、不老とも言われるディザイア一族。一体Aの実年齢が、幾つか知れたものでは無い。
しかしながら、恨めしいディザイアを虐殺して絶滅させたとマーレ民に公表していたマーレは、Aとその母親を手元に置いておく事が出来なかった。
そこでマーレは、楽園送りになるエルディア人と共に、二人を船に乗せたのだ。
____来たるべき時が来るまで、ディザイアを楽園に閉じ込める。
エルディアに愛されし『ディザイア』は、巨人となった元
エルディア人には…襲われない事を知って居た。それは何故か。現在もその謎は、解明されて居ない。
強いて言うならば、矢張り『愛』なのか…或いは『魂』の繋がりかと踏んでいるが…真実は、ディザイアを楽園に閉じ込めてから、迷宮に入り込んだ。
____そしてディザイアの力は、記憶を司るものでもあった。
始祖の巨人の様に、それほど広範囲なものでは無い。記憶を操作出来る対象は一人だけである。
それも少し、忘れてしまうくらい。
加えてもう一つ。ディザイアはエルディアに愛されし者。始祖の力を保持する者に触れる事で、『記憶の改竄』の力を、不安定ながらに扱う事が出来る。ただしそれは、始祖を保持する者に触れている間だけである。
つまりは…エレンだ。
____数年前。
エルヴィン、リヴァイ、ハンジの三人が、Aの口から、以上の事全てを聞いてしまった。
Aはただ、子供のように飛行船だの、巨人化の薬だのを無邪気に話して居た。
けれども、突然として思い出した。ここは『楽園』。言わばエルディアが夢を抱いて暮らす…その名の通りの『楽園』。
良かれと思い話してしまった。身勝手で、やはり罪深い自分。全てを話し終わった後でまた、『何も知らず幸せに暮らして欲しい』だなんて。せめて、いつか知る日が来る…その時までは。
そんなただの、『欲望』に任せて。
壁内中を捜して回った。グリシャ・イェーガーの息子を。
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桜の花言葉
『高貴』『清純』『私を忘れないで』
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にゃるす。 - 真面目に泣きました…… 感動です!!こんな素晴らしい作品を作ってくださった作者様に感謝です!!ありがとうございます!!(人 •͈ᴗ•͈) (2022年6月9日 22時) (レス) @page50 id: fbac834549 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ぴりおどさん» 節子…それ涙です…(戯れ)ありがとうございます嬉しいです…!! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴりおど - 目から汗が…凄く面白かったです! (2021年11月20日 21時) (レス) @page50 id: d35dddd041 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 僕さん» ありがとうございます....!!涙していただけてとても嬉しいです…! (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
僕 - 感動しました。涙が止まらないです! (2021年3月31日 9時) (レス) id: 9ca767eafd (このIDを非表示/違反報告)
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