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Necromance92 ページ42

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____生きて居たいと。少しでも思ってはいけない。存在したいと。思ってはいけない。揺らいではいけない。その揺らぎは、精神世界の安定を歪ます。


「構うな、次は…本当に頭ぶち抜く」


藤崎を見上げた真紅の瞳は、鋭くて。如何やら本気の様だった。


「友達なんでしょ、太宰君と」


それを聞き、目を丸めるアイザック。


「さくすけの…墓参りにも、まだ行けてないだろう。中也君にもちゃんと会って無いよね。敦君にお詫びはした?謝るだけじゃ駄目でしょ、まだ君にはやることがたくさんある。俺はね、約束したんだ。太宰君に。君を引っぱたいて起こして来るってね」


揺らぐ精神。パキ、とアイザックを留める氷にヒビが入る。


「君の行きつけの、洋菓子店の新作が出たんだ。苺のタルト。俺…食べたよ。美味しかった」


「…やめろ」


「…アイザック君。俺は、君の事」


「云うな!!」



そうして藤崎がぽつりと何かを呟いた。パキパキとヒビが繋がり、パリンと割れる。割れたのは、アイザックを留める氷だけではなく……地面の氷まで。


脆くなり、割れた地面から奈落が見える。ぐらりと先に落ちたのは金髪の青年。頭上に見えた一筋の光。咄嗟の判断で、藤崎は崩れる地面の上でアイザックに手を伸ばした。


無意識に、アイザックも藤崎の手を取ろうと伸ばしていた。今迄誰にも頼らず、頼る事を知らない青年が、この時初めて____藤崎を頼った。


絶対、絶対に救うと。目一杯青年に手を伸ばす。振り絞り、何とか青年の手首を掴む事が出来た。安心するのはまだ早い。


変な所で馬鹿力を発揮する。それが藤崎と云う男。





「届けえええッ!!」



柄にも無く叫び、自分が堕ちる事と引き替えに、アイザックを頭上の光の方へと投げる。代償は成立した。金髪の青年は光に吸い寄せられる様に、上へ上へと昇って行く。



「___翔!!」



最期に聞いたアイザックの声。嗚呼、懐かしい。君が俺の事を、翔と呼んでくれていた事なんて、すっかり忘れてしまって居た。


藤崎がアイザックに見せた表情は、何時もと変わらない、へらりとした…何処か強気の表情。



「寝惚けてるなよ、目を覚ませ!救世主!」




金色の青年は光へ。桜色の彼は闇へ。






____光は目覚め、影は眠る。





金色の青年の姿が見えなくなった。何処までも、果てしなく奈落に沈んで行く身体。



藤崎は静かに目を閉じて、微笑む。周囲は青い海の如く輝き、案外悪い物でも無かった。

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何処かの誰かのノート

彼奴を必ず救う。絶対に。


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ekakisitemasu(プロフ) - 1番最後の何処かの誰かのノートの彼奴を必ず救う。絶対に。で大号泣しました、、、、 (2022年10月21日 23時) (レス) @page50 id: 583e2155f1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 天才 (2022年4月29日 13時) (レス) @page50 id: 1cfd8c976c (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ファイさん» ありがとうございます…!笑って泣けるような作品にしたくて書いておりました!こちらこそ埋もれていたであろうこの作品を見つけてくれてありがとうございます、とても嬉しいかぎりです…!!!本当にありがとうございました! (2021年11月27日 0時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)
ファイ - アッ……ヤバイ エッ俺の心臓無事?大丈夫?あ、好き 主様本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います大好きです応援してます大好きです。 最初見たとき大号泣してしまいました。 本当にこんな素晴らしい作品を書いてくださり有難う御座います神! (2021年11月16日 18時) (レス) @page50 id: 1f415ed449 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 白鳥さん» あわわ、ありがとうございます.......!是非に!!!!私も白鳥さんのような方に出会えて嬉しさの極みでございます…ありがとうございます.......!!! (2021年4月30日 17時) (レス) id: 6fa1655de3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:χCielχ | 作者ホームページ:χCielχ  
作成日時:2019年6月1日 17時

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