恋は忍んで然るべき【仙石忍】

15.なぜか相手より周りにバレてることのほうが多い ページ15

*




体育の時間


ぼんやりと跳ねるボールを見る。




凛月「ねぇ、」


A「ん？どうかした、凛月くん。」



凛月「Aってさ、結構腹の底わかんない笑顔してるよね〜。」




A「えっと、どうしたの」


凛月「ほら、怒らないし。

なんか距離置いてる感じ？」



壁にもたれながらそんなことを言い出す。


ど、どうしたんだろう急に





凛月「だから、あの一年生に対して本心で応じちゃってるのって




結構気を許してると思うんだよね。」







A「…うん、そうだね。」



凛月「何その顔。つまんな、」

衣更「こら、凛月！」


凛月「まーくん痛い。」


衣更「人の気持ちにずかずか入らない。

ほら、選手交代。」


凛月「え〜、めんどくさ…」



そういいながらもコートに入っていくあたり


やっぱり衣更くんが好きらしい





衣更「悪いな、あいつなりに応援してるんだよ。」



A「そっか、」



衣更「…気使っちまうよな、アイドルだし。」



A「鳴上くんが言ってたの？」


衣更「いや、スバル。


『お互い好きなのに…』って」




馬鹿じゃないし、好意に気づいてないわけじゃない。



でも



両想いだったらいいってことじゃないでしょ




A「明星くんはまっすぐだよね。」



衣更「確かに。…仙石もまっすぐだと思うぞ。





お前もあいつも、アイドルやプロデューサー以前に




高校生だってことも忘れないでやってくれ。」


















A「それでもアイドルでしょ…」




口から洩れた言葉は


ボールのはねる音にかき消された。




*

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