二日目 ページ3
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「寝たね」
「寝ちゃったね、そりゃあもうぐっすりと。此処最近は特に忙しかったから、Aも疲れちゃったのよ。お疲れ様、A」
エリスは鴎外の膝の中で寝ているAの頭を背伸びをして、二度優しくぽふぽふと撫でるのを確認した鴎外はエリスに何時ものブランケットを持って来る様指示をする。エリスからブランケットを受け取るとAを包み込む様に肩に掛けてやり、最愛の娘を寄り良く感じ取れる様に己の手袋を外して、その小さな体を抱き締める。息が苦しくならぬ様ある程度力を加減して。
「嗚呼……何故私のAはこれ程までに上等なのだろうか。目も上等、眉も上等、鼻も上等、ほっぺたも上等、性質も素直で大人しいし、こうして眠っている姿も上等だ。」
腰まで伸びた柔らかい髪の毛を梳かす様に優しく撫で乍鴎外はAが寝ているのにも関わらず今日もまた、Aの讃歌を耳元で唱え始める。それは傍から見たら異様な光景だが、鴎外にとってこれは日課となっており唯一
この行為は鴎外の気が済む迄やり続けるものだが、残念乍執務室の扉をノックされてしまい有意義な時間から現実へと引き戻されてしまった鴎外は、明らかに不機嫌になるも仕事だから仕方が無いと速やかに気分を入れ替え、外していた白い手袋を付けると「入り給え」と扉の向こう側に居る人物に声を掛けた。
「失礼します首領。…!御取り込み中申し訳御座いませんが、今回のA嬢の稽古報告に参りました」
鴎外よりも年老いた男、広津は鴎外直々にAの教育を命じられ必ず決まった日に稽古の相手をする様になった。軽く報告書に目を通し書類から手を離すとAの頭を撫で筒こう続けた。
「…、大体は見ての通り確認したが、何かAに変わった事は有ったのかね?」
「A嬢の苦手な銃撃対応編についてですが、首領の読み通り多くの弾を弾き飛ばせる程成長致しました。しかし、まだ完璧とは呼べず百発百中九十八と後少し届きませんでした。まだまだA嬢には訓練が必要かと思われます」
「うんうん、親としても、組織の長としてもAが成長してくれるのは嬉しい事だ。これからも宜しく頼むよ」
「承知致しました」
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作者名:ゆうと | 作成日時:2019年6月25日 2時