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「まだ日が昇っていないせいか、早朝なのに真っ暗だね」

『貸し切りだから、人気もないしすごく静かだしね』







砂浜をあてもなく歩きながら話す英智とA。

聞こえるのはお互いの声と波の音だけ。








「そういえば、『Trickstar』の子たちは今頃どうしているだろうね。

日和くんたち『Eve』に負けたことで、彼らにどんな変化が訪れるのか……」

『あの子たちのことは、あんずちゃんが目を掛けてくれてるから心配はいらないでしょ。

あんずちゃんも、もう立派にプロデューサーできてるしね。

教える事が少なくなってきて、寂しい気もするけど』

「ふふっ……」








英智が突然笑い出し、Aは怪訝な顔をする。








『なに?いきなり……』

「いや、なんだか僕たちの物言いが、子を見守る親のようだなって思ってしまってね。

朔間くんじゃないけど、僕たちももう歳なのかな」

『一緒にしないでよ。私はまだまだ若いもん』







そっぽを向いて少し機嫌を損ねるA。








「ふふ、ごめんごめん。

そう、僕たちはまだ若い。だから何度失敗してもやり直すチャンスがある。

君も、そう思わないかい?」

『はい?』








少し前を歩いていた英智が立ち止りAの方へ振り返る。

しばらくお互いを見つめ合っていると、ホテルの方からこちらへ真っ直ぐ歩いてくる零が見えた。


零は無言で二人の間に入り込むと、Aの手をとってさっさとその場から立ち去ろうとする。








『ちょ、零ちゃん?』

「怖い怖い。朝だから余計に機嫌が悪いのかな?」

「……おぬしらを二人きりにさせるとろくな事がないからのう。

我輩は二度寝したいので、部屋に戻らせてもらうぞい」

『え、私連れて行かれる意味……』







Aはそのまま零に連れ戻されホテルへと戻っていった。








「……あの時のようにはいかないか。

ふふ、このパーカーは後で返そうかな」








英智はそう言うと、Aが去った後もAのパーカーを羽織ったままだった。

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作者名:もぶピ | 作成日時:2023年3月7日 1時

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