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零とわかれ、職員室に到着してすぐ、校内放送が流れた。
「衣更A先生、衣更A先生、至急、生徒会室へお越しください。
繰り返します。衣更A先生________」
在学中でも放送で呼び出されたことなどないAは、思わずビクッと肩をふるわせる。
『生徒会室からの呼び出し……?』
「お前、なんか生徒会に目ぇつけられるようなことでもしたのか?」
朝から酒臭い匂いを放ちながら職員室に居座る佐賀美。
『何もしてませんよ。……とりあえず、行ってきます』
Aはそう言うと、生徒会室へと向かっていった。
佐賀美にはあぁ言ったが、昨日のことに関して何か言われるのかと身構えている。
昨晩、英智と再会した翌日に呼び出しされるなど、何もないはずがなかった。
『失礼します』
生徒会室の扉をノックして開くと、玉座のような生徒会長の席に、天祥院英智が居座りこちらを見ていた。
「やぁ、よく来てくれたね。
ようこそ、夢ノ咲学院生徒会室へ。
……とは言っても、君には来慣れた場所かな?」
わざとらしい笑みを浮かべてそう言う英智。
その脇には、小さく可愛らしい生徒会役員の姫宮桃李と、副会長の蓮見。そして弟の真緒がいる。
真緒と蓮見は、先ほどからAとは一切目を合わせようとはしない。
『……要件は何かしら?わざわざ生徒会が、ただの外部講師に用事があるとは思えないのだけど?』
「まずは忙しいのに来てくれたことに感謝するよ。
今日呼び出したのは、昨日話そびれちゃったことがあってね」
『話……?』
次の英智の発言に、Aは自分の耳を疑うことになる。
「君を____僕たち生徒会の専属プロデューサーに任命したい」
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作者名:もぶピ | 作成日時:2022年9月5日 1時