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『ALKALOID』から離れたAは、ESビル内の空中庭園に来ていた。
『あれ?呼び出されたところって、ここで会ってるよね……?
誰もいない……』
辺りを見渡すが、この場には人っ子1人いない。
ビル風が髪とスカートの裾を揺らすだけだ。
『おっかしいなぁ〜……もう1回電話してみようかな』
そう思いスマホを取り出そうとした時、背中に温もりと重みをどっしりと感じた。
『!?』
「よォ、お姉さん。俺っちとイイコトしねェ……?」
耳元から聞こえてくる低く甘い声に思わず身体が硬直する。
しかし、それは決して頬を赤らめドキドキするような少女漫画的な心情ではなかった。
冷や汗がAの背中と頬を伝う。
『……り、燐音さん』
「よォ、浮気者。なァに1人で楽しいことしてんだァ?」
その声の主は、『Crazy:B』のリーダー。天城燐音だった。
Aは顔と目線を燐音の方に向け、震えた声で問いかけた。
『あの……なんか、怒ってる?』
「まァな。Aちゃんは、あとでお仕置きな♡」
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作者名:もぶピ | 作成日時:2021年12月13日 21時