暗闇の中で (ページ26)

今日:15 hit、昨日:13 hit、合計:14,017 hit

17話ページ26

随分と歩いてきてやっと、今回の戦場に辿り着いた

此度の戦の敵総大将は、廉頗将軍だという

初陣で趙三大天と当たるとは…

つくづく私も運がない

「伍を作れー！」

百人将が怒鳴った。その怒鳴り声が録嗚未に似ていた事は私だけの秘密だ

それにしても"伍"と言われても知らない人ばかりだし、私のことを餓鬼だとバカにしている奴らばかりだ

どうしょうかなぁと一人で考えていると、後ろから声をかけられた

「俺等と一緒に組まねぇか？」

ガタイのいい強そうな男だった

「こんな餓鬼と一緒でいいのか。」

「ホントは腕っぷしの強そうなやつと組みたかったが…てめえも弱くないんだろ？」

男は私の剣を指さして言った。

きっと上質な剣であることが見て取れたのであろう。奴は、私を試すようにニヤニヤと笑っている

「私は、強い。」

そう言うと男は口角を上げて私に手を差し出してきた

「礎顕(そけん)だ。宜しくな」

私もその手を取り、応える

「在瑠だ。よろしく頼む」

その他の3人は鋭(えい)、譚(たん)、故廊(ころう)というらしい

皆初陣の私に優しくしてくれて、私は仲間に恵まれていると思った。何かと分からないことがあれば教えてくれる、優しい兄ができたような心地だった。

伍が決まってから私達は各軍に振り分けられる。

私はずっと干央か、隆国の軍に入れてくださいと天に祈り続けたが、その甲斐もなく、第一軍に組み込まれることが決まった

よりにもよって、一軍とは。何ならその軍以外ならば良いとさえ思った一軍とは。

決して録嗚未が嫌いな訳では無い。むしろ好きだ(家族として)。ただ、私はもう少し知的に戦いたかった。

がっくりと肩を落とした私に、譚がこそこそと声を掛けてくれる

「第一軍は嫌だった？」

「嫌だった。だって第一軍の軍長録嗚未は、バカだから。」

「お前バカとか冗談でも言うなよ」

「礎顕、冗談じゃない、私は事実を言った」

「事実ならもっとだめだろう」

故廊がため息を付きながら呆れたように言う

それもそうかと私が一人で納得していると、

「軍長が到着なさったぞー！」

という声が響いてきた。

録嗚未はまず、歩兵達を眺めて在瑠を探した。

録嗚未は、自分の軍に在瑠が居ませんようにと道中で祈り続けた。他の軍長たちもそうだ。録嗚未の軍ではありませんようにと願った。

全体を見て録嗚未はホッと胸を撫で下ろした。

しかし明らかな殺気が録嗚未に突き刺さっている。

はて、と思いそちらを見ると

在瑠がいた