暗闇の中で (ページ3)

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体力も底を尽き、蹴られたところ、木刀で殴られたところが痛い。仰向けに寝転がり動かない私に彼は声をかけた。

「詰めが甘い。敵の全体を見て対処しろ」
私の怪我なんかお構い無しに厳しい指導が飛んでくる。

「もう少し、怪我の心配とかないのか？」
私が不満げに問いかけると、彼はニヤッとして言った。

「ああ、ない。お前は怪我が治るのが速いだろう」

「それはそうだけど、、そういう問題じゃない」
私は少しムッとして言い返した。

「そういう問題だ。...そんなことより、明日から歩くぞ。秦との国境沿いまで向かう。」
彼は私の方を向いて、頼んだぞーと言う。

「……治らなかったら？」
どうせろくでもない答えしか帰ってえってこないが、一応聞いてみる。

「治せ。」
ピシャリと言い放たれた一言に不満を抱きながらも移動のわけを聞いてみることにした。

「ところでどうして国境沿いなんか行くの？国境には警備隊とか何とかいっぱいいるでしょう？」
私は頭にハテナマークを浮かべて彼に尋ねた。

「別に国境に行く訳では無い。国境付近にある里へ行くんだ。」
そう言って意味深な顔をして見せた。

「その里で何をするのか、どうせ教えてはくれませんよね。大師匠勢露様」
と皮肉を込めて私が言うと、クククっと笑って彼は

「ああ、そうだな。教えてやるつもりはない。着くまでの辛抱だ。…我慢しろ。」
と言った。

私はそれ以上質問することもないから、怪我を早く直そうと目を閉じた。