暗闇の中で (ページ18)

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「大丈夫ですか？」
私は女の人に向きなおって尋ねた。

「はい、ありがとうございます。」

「手、跡付いちゃいましたね。」
ほんとに大丈夫ですか？もう一度確認を取った。

「私は大丈夫です。むしろ貴方の傷のほうが…」
顔を覗き込むように心配そうに言われた。

「大丈夫ですよ。大した怪我じゃ無いですから。」

「いつか恩返しをさせてください。いらないとは言わないでくださいね。」
私が笑って答えるとそう言われた。

「じゃぁ、私が困ってたら助けてください。…機会があれば」

二人でクスクスと笑ってから、またいつか会いましょうと言って別れた。

それからまもなくして

「お前、強えんだな」
と大柄な男の子が近づいてきた。

「ありがとう」
素直に感謝を述べてみたけど、彼には話したいことが山ほどあるようだ。

「助けてやろうと思ったんだけど、お前が強そうだったから様子を見てたんだ。」

腕っぷしの良さそうな人だと思いながら先程からの疑問を投げかけてみる。

「えっと…誰？」

「そういえば名前言ってなかったな…俺は蒙武だ！」

「もう？もうってあの蒙？」

「ああ、俺の親父は大将軍の蒙驁だ！」

こんなところで、大将軍の嫡男に会えるとは思わなかった。
すごい偶然だなと考えていると、蒙武に声をかけられた。

「お前は？…名前教えてくれよ」

私が首を傾げると説明をしてくれる。

「あっそういえば言ってなかったね、私は在瑠」

「在瑠？…どっかの士族の出じゃないのか？」
蒙武は在瑠、在瑠と繰り返しながら怪訝そうな顔をする。

「あぁ、私、養子なんだ。」

「そういうことか…ところで誰の養子になったんだ？」

「王騎将軍だよ」

私がそう言った瞬間、はあーっと大きな声で声を上げた。

「王騎将軍って六将のだよな？」
私はこくんとうなずいた。

「は～どうりで強え訳だ。」

「ありがとう。でも、蒙武も強いでしょ。私力は弱いから、たぶん戦ったら負けるよ。」

「さっき思いっきり大人を殴り飛ばしたやつが言うことかよ…力もそこらの男より強えと思うぞ。」
ま、俺には負けるけどな。と蒙武は笑った

「そうだっ、このあと暇？」
蒙武が突然大きな声をだしたため驚いてしまった。

「な、なに？ある程度は暇だけど…」

「そうか、それなら良かった！お前に会わせたいやつが居るんだ！」

「会わせたいやつ？」
私は首を傾げながら問いかけた。

「ああ、付いて来い」

そう言って蒙武は私の手を引っ張って行った。