検索窓
今日:13 hit、昨日:6 hit、合計:87,040 hit

95話(side:E) ページ45

 
「きっくんいいにおいする〜」


きっくんの近くを通りかかったAが、立ち止まってふんふんと鼻を鳴らす。


「ちょっと今日香水つけてきたんだ〜」


そう言って鞄から、白くて丸い瓶を取り出して、Aに見せる。
きっくんはかなりオシャレだから、服装やアクセサリーだけじゃなく、こういうフレグランス系も詳しかったりする。
興味深そうにAが見る瓶は、オシャレに疎い俺には全然分からんブランドのだ。


「そんなに甘くないから、わりと使いやすいんだよ、これ」


そう言ってAの手首にほんの少しだけ香水をつける。
指先で耳の後ろにも軽く付けてあげて。
嗅いでごらん、と促すきっくんに言われるままに、自分の手首に鼻を近づけるA。
表情が、一気に明るくなった。


「きっくんと同じにおいする!」
「Aちゃん、この匂い好き?」
「すき〜!」


よっぽど嬉しいのか、手首に鼻をつけてめっちゃ嗅いでる。
あまりこういうのが得意じゃない俺も、実はきっくんのこの香水は好きだったりする。


「お兄ちゃんもきっくんと同じにおいするね」
「えっ。わかる?」


実は家に来て早々、きっくんに「これめっちゃいい匂いだから!」って香水振りかけられてたんですよ、僕。
最初は普段しない匂いが自分からするのに凄い抵抗あったけど、嗅ぎ過ぎて鼻がバカになったのか、途中から全然気にならなくなった。
自分で自分の匂い嗅いでも全然分かんねぇや。


袖のあたりを嗅いでいると、正面からAが抱き着いてきた。
パーカーの胸元に顔を埋めて、またふんふんと鼻を鳴らす鳴らす。
こうやって一生懸命匂いを嗅いでる姿を見ると、小動物みたいでめっちゃ癒される。


匂いを嗅ぐのを堪能したのか、顔を上げたAが二パッと笑った。


「みんな いっしょのにおい うれしい!」





こういう所にお揃い感じて喜ぶAが可愛い。


 

96話(side:K)→←94話(side:F)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (44 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
141人がお気に入り
設定タグ:えおえお , MSSP
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ねい(プロフ) - ひろひろ花さん» ひろひろ花様、コメントありがとうございます。一気に読んで頂けるとか感謝感激です。頻度はまちまちですが、今後もこんな感じで続けていこうと思っておりますので、お付き合い頂けますと幸いです(*´∀`*) (2017年9月6日 10時) (レス) id: 6c8b868609 (このIDを非表示/違反報告)
ひろひろ花(プロフ) - パート1から一気に全部読んでしまいました、読みやすいし素敵な内容でめっちゃ好きです…!続きお待ちしてます〜!頑張ってください、応援してます! (2017年9月3日 23時) (レス) id: c83e1355fb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ねい | 作成日時:2017年8月21日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。