95話(side:E) ページ45
「きっくんいいにおいする〜」
きっくんの近くを通りかかったAが、立ち止まってふんふんと鼻を鳴らす。
「ちょっと今日香水つけてきたんだ〜」
そう言って鞄から、白くて丸い瓶を取り出して、Aに見せる。
きっくんはかなりオシャレだから、服装やアクセサリーだけじゃなく、こういうフレグランス系も詳しかったりする。
興味深そうにAが見る瓶は、オシャレに疎い俺には全然分からんブランドのだ。
「そんなに甘くないから、わりと使いやすいんだよ、これ」
そう言ってAの手首にほんの少しだけ香水をつける。
指先で耳の後ろにも軽く付けてあげて。
嗅いでごらん、と促すきっくんに言われるままに、自分の手首に鼻を近づけるA。
表情が、一気に明るくなった。
「きっくんと同じにおいする!」
「Aちゃん、この匂い好き?」
「すき〜!」
よっぽど嬉しいのか、手首に鼻をつけてめっちゃ嗅いでる。
あまりこういうのが得意じゃない俺も、実はきっくんのこの香水は好きだったりする。
「お兄ちゃんもきっくんと同じにおいするね」
「えっ。わかる?」
実は家に来て早々、きっくんに「これめっちゃいい匂いだから!」って香水振りかけられてたんですよ、僕。
最初は普段しない匂いが自分からするのに凄い抵抗あったけど、嗅ぎ過ぎて鼻がバカになったのか、途中から全然気にならなくなった。
自分で自分の匂い嗅いでも全然分かんねぇや。
袖のあたりを嗅いでいると、正面からAが抱き着いてきた。
パーカーの胸元に顔を埋めて、またふんふんと鼻を鳴らす鳴らす。
こうやって一生懸命匂いを嗅いでる姿を見ると、小動物みたいでめっちゃ癒される。
匂いを嗅ぐのを堪能したのか、顔を上げたAが二パッと笑った。
「みんな いっしょのにおい うれしい!」
こういう所にお揃い感じて喜ぶAが可愛い。
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ねい(プロフ) - ひろひろ花さん» ひろひろ花様、コメントありがとうございます。一気に読んで頂けるとか感謝感激です。頻度はまちまちですが、今後もこんな感じで続けていこうと思っておりますので、お付き合い頂けますと幸いです(*´∀`*) (2017年9月6日 10時) (レス) id: 6c8b868609 (このIDを非表示/違反報告)
ひろひろ花(プロフ) - パート1から一気に全部読んでしまいました、読みやすいし素敵な内容でめっちゃ好きです…!続きお待ちしてます〜!頑張ってください、応援してます! (2017年9月3日 23時) (レス) id: c83e1355fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねい | 作成日時:2017年8月21日 23時