Love*3-42 ページ42
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千秋楽を迎えたら、
私は彼の家に帰れるんですか、なんて聞けなかった。
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そんなに甘くないって知ってるし、
何より自分が″無理だ″って、
心のどこかで思っているからで。
だけど″きっと帰れる″って同じところで思っていないと、
ずぶん、と気分が落ちてしまう。
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あの日会ったことは、
私と、翔くんと、黒川さん3人の秘密だった。
そして、一緒に眠ったことは
私と翔くんの2人だけの秘密。
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楽屋に入ったら、リーダーがいた。
レギュラー番組の収録日。
扉を開けた私を見て、ふにゃん、と笑っておはよう、と言う。
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「おはよ、」
「ん〜？ちょっと元気になった？」
「ん？」
「ふふふ、こっちおいで、」
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言われるままに近づいたら
いつもと同じように座ってるソファの半分をあけてくれる。
そこにぽすん、と座ったら、ほっぺをむに、と両手で引っ張られた。
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「…いひゃい」
「悪い子にはお仕置き」
「？」
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ほっぺたが解放される。
長くてきれいな指が、今度はそこを優しく撫でて、
赤くなっちった、って悪戯っ子みたいに笑う。
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「も〜ほんとに。無理しすぎ、」
「…何で知って、」
「ん？んふふ、なんででしょう(笑)？」
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知らないはずだ、だって言ってない。
…翔くん？まさか。
黒川さん？
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「俺だけだからだいじょぶ、」
「…ほんと？」
「ほんと、」
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この人は、嘘をつかないから
たぶん本当なんだろうと思うけど。
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「内緒ね、」
「ないしょ…いいね、なんか。ゾクゾクする」
「っふ…、へんなの(笑)」
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時々向かってくるナイフには、
一瞬で息の根を止める、毒が塗られてる。
倒れないように、上手によけて、その毒で他の人が倒れるのを見て見ぬふりをして。
そんなことばかり、上手になる。
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「…なに2人して笑い合ってんの、」
「あ、ニノ」
「内緒。ね〜A〜？」
「っふふ…ねー？」
「気持ち悪いわぁ…」
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だけど、私の周りはいつだって暖かくて、優しい。
矛盾してるのは分かってるけど、
私はずっとここにいて、暖かくて優しいこの人たちを
守って行かなきゃいけないと、思う。
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アイドルになるべくしてなったわけじゃない。
天才でもないし、何かずば抜けて得意なことがあるわけじゃない。
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だけど私はこの場所にいたい。
…我儘、かな。
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