Love*3-28 ページ28
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あの後、光一くんは一緒にタクシーに乗って本当に家まで送ってくれた。
いつも、″後輩でもお前は女だから一緒にタクシーには乗らない″と言うのに
今日だけは、別だった。
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マネージャーと約束したから、と言って
隣に乗り込んだ彼を見て、
″なったことがないから分からない″は嘘だと、思った。
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あれは、私のためについた″嘘″だ。
絶対、彼は、そんなことしない。
けど、本当のことを言えば私が傷つくのが分かっているからあんな風に答えたのだ。
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″きっと考えがあるから、従うのが賢明だ″
それは、分かってる。
そんなの、私が一番分かってる。
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いつだって、5人が言うことは正しい。
翔くんが、変なところで頑固で、
誰が何を言っても、考えを変えないことだって、分かってる。
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頭では分かってるけど、心がついて行かない私は、どうしたらいい？
自分をだまして、押し殺して、声を上げずにただ耐えて、
それがずっとできるほど、強ければいいのに。
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「…、いたい、あいたい、」
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なんで帰れないの、なんで傍にいれないの、
どうして、こんなに苦しいの。
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今まで抑えていたものが、
一気に爆発したみたいに、頭の中に
色んなものが散らばって、もう自分じゃどうしようもない。
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ぎゅ、と握りしめていた端末を震える指で操作して
″連絡しないで″と言った彼の名前を呼びだした。
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無機質な呼び出し音が響く。
この時間は、嫌いだ。
あの時、「拒否」された音がよみがえって来て、一気に怖くなる。
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中々、つながらない電話に、
もう終わりかもしれない、とぼんやり思ったその時だった。
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『…もしもし、』
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息が止まる。
手が震えて、ぽろぽろと涙がこぼれた。
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『…A？』
「しょうくん、しょうくん、」
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名前を呼ぶ。
助けてよ、もう無理だよ、会いたいよ。
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泣きながら名前を何度も呼んだら、
どうしたの、と落ち着いた声で聞かれる。
会いたい、とそれだけ伝えたら向こうも息を止めた。
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「あいたい、」
『…無理だろ、今は』
「やだ、あいたい」
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分かってるんだ、会えるわけないって。
色んなリスクを冒してまで、彼が会いに来てくれるわけないって。
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『我儘言わない、』
「、」
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ごめんね、わたし。
あなたが思ってるほど、強くなんてないの。
まだ何か話してる声が聞こえたけど。
もう、堪らなくなってそっと通話を切った。
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