検索窓
今日:4 hit、昨日:10 hit、合計:42,787 hit

見上げる【8月4日】 ページ7

花火の音が近くで聞こえる。
下駄の音や人の喋り声が聞こえるのに、私はこの時間もオフィスでパソコンと戦っていた。

仕事を押し付ける上司に押し付け合う職員、終わらない仕事にイライラが重なる。

そんな私の仕事が終わったのは21:30を少し過ぎたくらい。
抜けている身体に必要最低限の力を入れて荷物を持って会社を出た。


ドンドンと、まだ花火は終わらない。

彼氏はいるけれど、彼も彼で忙しいし私はもちろん忙しい。一緒に住んでいるからわがままなこと言ってちゃだめだと自分の中でルールを作っていた。

もう花火なんて恋人と手を繋いで…とかないのかもしれない。
花火なんてなくなっちゃえばいいのに、と思ったり。


「おかえり」

下を向いて歩いていると前から聞き覚えのある温かい声が聞こえた。

「志麻…くん」

「おかえりA」

「ただいま、…なんで?」

「なかなか連絡ないからアイス買いに行くついでに迎えに行こーって思って」

「そっかぁ…ありがとう」

「A顔上げて?」


急に何、と思って顔をあげるときれいな顔がゆっくり近づく。
彼の右手によって頭は固定されて、唇同士が軽く触れ合った。
離れるときに、ちゅっと名残惜しく音が立った。

「寄り道せぇへん?」

「え?」

「花火、見に行こうや」

「え、いいの?」

「もちろん、荷物貸して?持つから」


彼に手を引かれて花火がよく見えるところまで行くことに。
私が疲れてるだろうからって荷物を持ってくれたりご飯はもう作ってあるよ、お風呂も出来てるよって至れり尽くせりな状態。

彼と手を繋いで見る花火は実現したし、花火なんてなくなっちゃえというのも前言撤回。

下を向いて歩くのもやめ。
見上げれば素敵な夜空と、隣には大好きな人がいる。

愛おしい声が【8月5日】→←打ち上げ花火【8月4日】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (185 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
298人がお気に入り
設定タグ:浦島坂田船 , 志麻 , 歌い手
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

美麗@ラ - 完結おめでとうございます、そして1ヵ月お疲れ様でした!れおなさんの書く志麻くんがドタイプすぎて…笑最高でした!れおなさんの作品他も色々読んでます、大好きです! (2021年9月5日 13時) (レス) id: 898ecf2a8e (このIDを非表示/違反報告)
乃々夏(プロフ) - 1ヵ月間ほんとうにお疲れ様でした!夏休みの楽しみが増えて、とても嬉しかったです!最高でした…!!評価は何十回も押してますよ!どうして1回しか押せないんでしょうね!!そろそろ運営に殴り込みにいこうかなとおもってます!! (2021年8月31日 23時) (レス) id: e426f8e368 (このIDを非表示/違反報告)
暁の天(癒樂)@SOS同盟(プロフ) - 1ヶ月間お疲れ様でした!凄くあっという間にこの日を迎えてしまったなぁ、と少し寂しく思います… 本当に毎日お疲れ様でした!ありがとうございました!! (2021年8月31日 18時) (レス) id: bfed5c7004 (このIDを非表示/違反報告)
aoino(プロフ) - 1ヶ月間お疲れ様でした!毎日この小説の更新が楽しみで通知があるとワクワクしていました!ありがとうございました! (2021年8月31日 17時) (レス) id: f3a5a28b66 (このIDを非表示/違反報告)
りょくちゃ(プロフ) - 一ヶ月更新お疲れさまでした!毎回すごく楽しかったです、、、ありがとうございました! (2021年8月31日 13時) (レス) id: f217387575 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:れおなちゅ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年7月31日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。