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第13話 聖獣 ページ14

家の更に奥にある道に歩くなか、なんとも言えない沈黙が流れる。


「私が泣けない事や悲しめない事って恥ずかしいと思えない事と同じ原因なんでしょ」


それは疑問をぶつけるというよりは独り言に近かった。
カカシ先生は何も答えない。仮にも上忍なんだから誤魔化すなり肯定するなりあるだろう。この先生は教え子の事になると少し馬鹿になる。
遠くない道を歩くと荒廃とした場所に着いた。昔は手入れも行き届いた小洒落た庭だったが、今は不気味さを感じる程混沌としている。一ヶ所の茂みを掻き分け、表れた岩肌に噛んで血の滲んだ指を押し付ける。そしてチャクラを込めてある言葉を口にすると岩が地面へと沈んでゆく。


「ここが聖獣の治める森の入り口です。村人すらあまり歓迎はしない子達ですので、余所者は怒るかもしれません。お願いですから刺激しないでくださいね」

「ま、俺達は争いに来た訳じゃないからね」


その答えに頷き、今度は私から岩をくぐる。数秒で抜けた先には底の見えない大きな池とそれを囲うように生い茂る深々とした木々。だが様子がおかしい。いつもならあの子達が出迎えてくれる筈。しかし待てども動物一匹姿を見せない。


「おかしいですね…。いつもならここを通った瞬間集まるのに」

「いる場所に心当たりは?」

「一つだけ。社です」


ーーーヤマトside…ーーー

Aに連れられたどり着いた先には、こぢんまりしたお社がポツンたっているだけの拓けた場所。Aが迷わず開いたその扉の先に見えたものに息を飲む。
部屋の中央に丸まっている一匹の狼。扉から差し込む光に反射して輝く白銀の毛並みが上下しているのを見て、ただ眠っているだけだと分かった。どこか現実離れした神々しい姿に、聖獣だと悟る。
Aはこの光景に目を少し見開くが、すぐ戻りそのまま大股で狼に近付くと…


「起きろーーーー!!!」


敬意もへったくれもなく狼へダイブした。


「えぇーーーーー!?ちょっ、A!?そ、それ聖獣だよね!?」


流石に目を覚した聖獣は、のっそりと起き上がり未だ毛並みへ体をうずめるAをじっと見つめる。冷や汗を浮かべ、微妙な緊張感が支配する五秒間。おもむろに口を広げ、Aが危ないと思うのもつかの間。


「わーー!!Aだ!今日って遊びに来る日だっけ?」


放たれた言葉は威厳の欠片もない子供のセリフ。カカシさんはニコニコと当たり前の様に見守っている。


「せ、先輩…。先輩は何も思わないんですか…?」

「え?なんで?微笑ましいじゃない」


…この空間でおかしいのは僕なんですか…?

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設定タグ:NARUTO , はたけカカシ , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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SC(プロフ) - ミリアさん» ありがとうございます!実はクロスオーバーやトリップは考えた事あるんですよね笑 銀魂にハマった時は銀魂夢主へトリップしたりDQにハマった時は故郷滅ぼされた者同士で合わせたり…。色々ネタ手帳で考えてみますね!! (2018年4月24日 18時) (レス) id: 733451eee1 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く面白かったです続きが楽しみですもし今後他の作品を作る予定があったらナルトかサスケ本人♀か姉か妹がワンピースかフェアリーテイルかリボーンとコラボかトリップか転生した作品が読んで見たいです説明が下手ならすみませんこれからも更新頑張ってくださいね (2018年4月20日 16時) (レス) id: 673ec4ec31 (このIDを非表示/違反報告)
SC(プロフ) - ありがとうございます!そう言って頂けるとモチベーション上がります!大学忙しかったりオリジナル難しくて亀更新ですが、途中で投げ出したりはしないですよ!笑 これからも大自然の巫女をよろしくお願いします! (2018年4月17日 8時) (レス) id: 733451eee1 (このIDを非表示/違反報告)
船長 - 物凄い面白いです続きが気になりますぜひ完結するまで描いてください応援しています頑張ってください (2018年4月5日 10時) (レス) id: 8b9f7d7cc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SC | 作成日時:2018年2月24日 16時

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