【黒バス】君を狂わすのはこの愛だ。~you've changed my fate~ (ページ4)

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兄妹というものの基準が私には未だにわからない。

他人のように接する家庭もあれば、妹が兄に甘える家族もある。
逆に兄が妹を溺愛してなんでも買ってあげては着飾らせ、それはそれはお人形のように愛でたりもする……なんていう少女漫画の中にあるような家庭だってある。

そんな様々な関係性のある兄妹の中でも、私たち兄妹はちょっと変わっていた。

性格も顔つきもあまり似ていない私と兄は、髪の色と目の色がそっくりなことくらいしか兄妹であると判別できない。
なんでもテキパキこなしたいタイプの私と、結構ずぼらな兄。

そんな私たちの関係は、傍から見れば家政婦と家の主人のようだった。
整理整頓のあまり得意ではないうえ、手先の不器用な兄はよくパソコンを壊したり散らかしたりをしていて。それを私が片付ける。

ご飯も、ゆで卵くらいしか満足に調理できない兄に代わって、私が兄の栄養バランス等も考えた食事を作っていた。そのおかげで花嫁修業なんて必要ないほどに嫁スキルは身についたけど。

そして、また今日も。

「兄さん、また原稿散らかして……。
これ担当さんからいただいたお菓子？よ、要冷蔵なんだけど……！」

「あ、忘れてました。」

「これで何度目だと思う？その発言」

「何度目でしょうねぇ……」

どこか抜けた発言の後に、兄さんがこちらに振り向く。

毎日パソコンとにらめっこをしているくせに、ひとっつも視力の落ちる気配のない、その透き通った水色の瞳がぼんやりと私を見つめた。

私の兄＿＿＿＿黒子テツヤは、現在22歳。

ミステリーの小説家として、たまたまとある出版社に応募した作品でデビューを果たし、
今や担当編集者もついた、そこそこ人気のある作家さんだ。

兄の務める出版社と、私の大学が近いことから、私たちは親元を離れて二人で暮らすようになったのはつい最近のことで。

最初こそ親も少ししぶった様子を見せていたが、兄が洗濯機すらまともに回せないほどの壊滅的な家事能力だったため、これはまずいと私を兄の元へ派遣する形になった。

年頃の……といっても、もう私たちも大学一年生と、一方は20歳を過ぎた大人だ。しかも兄妹である。仲はそこそこいいとは自負しているが、さすがに一線を越えることはない。

＿＿＿＿＿はずだろう、と。

ゆらゆらと揺れる水面のような瞳で見つめられながらも、そう、、、、信じていた。