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そんなことがあったその日の晩。

外で食べて来たから、と兄さんの食事だけを準備すると、何故か根掘り葉掘り今日の出来事を聞かれ、説明すれば少し不機嫌に眉を寄せた。

それから黙々とご飯を食べた兄さんは、片付け始めた私の背中にベッタリと張り付いてきた。



「……兄さん、動きにくいんだけど」


「知りません」


「……せめて食器洗う時くらいは離れて欲しいんだけど」


「嫌です」


「……兄さん、執筆は?」


「休憩も必要だ、のめり込みすぎるなと僕に言ったのはAです」


「……怒ってるの?」


「怒ってません」


「じゃあ、何で兄さん、」


「……怒ってなんか、いません」



あまりにも兄さんが屁理屈を捏ね続けるので質問を飛ばし続けると、兄さんは小さな声でそう反論した。


私の経験上、兄さんがこうなる時は大抵何かに嫉妬(・・)している時(・・・・・)だ。

でも、仮にそうだとして、一体何に嫉妬をしているんだろう。


ぼんやりと考えながら、遂には私の背中にぐりぐりと頭を押し付ける兄さんを放っておけず、食器洗いは後にして、ソファで膝枕をすることにした。

昔は私が良く兄さんにやってもらっていた事だけど、私が高校生になった辺りから、その構図は逆になった。


両親は「何歳になっても仲が良いね」と微笑ましそうに見ていたのを思い出す。それも今となっては少しおかしな反応じゃなかろうかと考えることも無くはないけど、考えたところでどうせ無駄で。

それに、最近は「兄妹だしまぁいいか」と思い始めていたし、構いはしないけど。



「はい、兄さん」


「……怒ってません、から」



私の膝の上に頭を預けた兄さんは、もう一度さっきと同じ言葉を繰り返した。

思わず苦笑して「分かってるよ」と言えば、兄さんは静かに目を閉じた。


すぐにすう、と寝息が聞こえる。

童顔の兄さんの寝顔は特に幼く見える。


髪色も表情も兄さんと似ているけど、顔だけは兄さんと似なかった。

さらりと前髪をかきあげて、「お疲れ様」と呟いた。


もう少し。

もう少しだけ兄さんの寝顔を見てから、食器洗いを始めよう。

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堕天使ルイ - なんか、ちょっと内容が分からなくなってきました。自分の理解能力の無さでw 続き楽しみにしてます。更新頑張ってください。応援してます。 (2018年3月20日 21時) (レス) id: 3344530ea6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遠野・西谷彩香 x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年12月23日 13時

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