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「緑間」という名前なだけある。鮮やかであるがどこか深みのあるクロムグリーンの髪に、長い睫毛。
眉間にぐっと皺が寄っていて、ずうっとしかめっ面であってもわかる。彼はかなりの美少年だった。
縦に長い背丈に、手足もすらりと長くて、その手にやたらでかい木彫りの熊がなければモデルと思うぐらいだ。高尾君の相棒だか親友だかしらないが、彼の仲間だというのだからもっとおちゃらけた人間なのかと思った。趣味はカラオケでぇっすとか軽いノリであいさつされたら帰ろうと思っていたが……。
かなり生真面目そうな雰囲気に、黒ぶちの眼鏡がより彼の顔をきりっと鋭く見せている。
兄さんタイプというよりは、先日会った赤司君系。お金持ちのオーラというか、近寄りがたい雰囲気が。
まじまじとその顔……というよりは、その手にある木彫りの熊を見つめていると、持ち主の緑間真太郎が「おい」と声をかけた。
「あ、ごめんなさい。……その熊ってもしかして、蟹座のラッキーアイテムかなって……」
「……あぁ。」
「そうそう、真ちゃんはラッキーアイテムがないととにかく大変なんだよなー。命の危機と思うレベル」
無口そうな(というか不機嫌?)緑間君の訳をするように、ハイテンションの高尾君が説明に入る。
はは、と呑気に笑っているがどう考えても先ほどの言葉はおかしい。
ラッキーアイテム一つで命の危機とはいかに。
この木彫りの熊があるかないかで命を左右すると考えると、ただ木で彫っただけのはずの熊がまがまがしい空気を放っているように思えてきた。
このラッキーアイテム実は呪具とか魔具とかいう物騒なものなんじゃぁ、と余計にその木彫りの熊を凝視した私に、また緑の髪の彼が「おい」と目を覚まさせるように声をかけた。
「あ、ごめんなさい。これ怪しい物なのかなって……」
「違う。これは今日のラッキーアイテムのために高尾に買いに行かせた北海道八雲町で作られたものなのだよ。」
「成程……?」
成程といいつつ何一つ整理できていない。
高尾に買いに行かせたってどういうことだとか、なのだよというどう考えても独特過ぎる語尾とか。
この人、もしかしなくても変人なのでは……。と視線を彷徨わせ、人を食い殺そうとしているような顔をしている熊から目をそらした。
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堕天使ルイ - なんか、ちょっと内容が分からなくなってきました。自分の理解能力の無さでw 続き楽しみにしてます。更新頑張ってください。応援してます。 (2018年3月20日 21時) (レス) id: 3344530ea6 (このIDを非表示/違反報告)
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