【泣かせた】3-3 ページ33
「目が覚めたか、A。」
「……り、理鶯さ…!?」
目覚めたとき、真っ先に不思議に思ったのは寝転がっている場所が何故かふかふかとしていること。気を失ったのは玄関先の事では無かったのか。それとも、あれは夢だったのだろうか。ならばもうあんな悪夢の光景なんて見たくない。
だがしかし、自分の見に纏っている感覚が朝着た物と遜色無い事に、あれは夢では無かったと思い知らされることとなった。ならば、何故。という疑問は聞こえてきた声で全てが解決する。
聞きたくて仕方なくて、でも聞きたくなかった声が、したから。
「具合は大丈夫か。」
「…あっ、いや、うん…。大丈夫、です…。」
しどろもどろにしか言葉を発する事が出来ない自分が悔しい。真っ直ぐとこちらを見つめられると尚更、自分のしたことが惨めに思えてしょうがなくなる。どうして逃げるなんて選択肢を取ったんだろうと、今更になって後悔した。
「何かあったのか。」
「…。」
「何故来れなかったのか、話してくれるか。」
途端、咳を切ったように涙がまた溢れてくる。理鶯はなにも言わずAを見つめていた。
「…ごめん……なさい…っ!!!」
口から出てくるのは、そんな言葉だけで。ごめんなさいごめんなさいと、繰り返していたら、ひゅ、と喉が鳴った。こんな筈じゃなかったのに。後悔しても変わらない。Aは謝罪以外にできることが何一つ無く、相も変わらず弱い自分を呪った。
――泣きじゃくる彼女は、今はきっと精神が弱っているのだと、理鶯は確信した。
背中を擦って大丈夫だと言っても、返ってくるのはごめんなさいという謝罪のみ。理由を聞くのなんて後で構わない。今は彼女を安心させるのが最優先だ。理鶯は優しくAの髪を指先ですいて、頭を腕の中に抱き締めた。
「大丈夫だA。安心しろ、小官はここに居る。」
「…ッ、りお、さ…ッ!!」
トントン、と赤子をあやすかのように背中を叩いてやる。それ以上は何も言わずひたすらにAを抱き締めると、段々と呼吸が落ち着いてきたのを感じる。ひゅ、と病的な音が聞こえなくなった位で、理鶯は一度腕を離した。
真っ赤に腫れた目が痛々しかった。理鶯は優しく目尻を指でなぞり、そっと唇を落とした。
◇◆◇◆
お久しぶりです。更新遅くなり本当に申し訳ありません。
言い訳にしかならないのですが、なにぶん学生の身でして←テストとかゆう鬼が待っておりまして←
ここ最近更新できずすみませんでした…!
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浮遊物(プロフ) - もう好き・・・。ほんと大好き・・。私は銃兎さん推しですが左馬刻様も理鶯さんもイケメンすぎて・・・。素敵な作品をありがとうございます!! (2019年5月26日 17時) (レス) id: 7f34580b08 (このIDを非表示/違反報告)
かなね(プロフ) - 【泣かせた】の話で1人でめちゃくちゃ大号泣しながら見てました...MTCめちゃくちゃ好きですこんな短編集探してましたああああこれからも応援してます!! (2019年3月14日 23時) (レス) id: 3b0055c1f9 (このIDを非表示/違反報告)
Lon(プロフ) - ふぃ。さん» ありがとうございます!捏造だらけだけど頑張って考えたのでそういっていただけてほんとに嬉しいです…!続編も是非よろしくお願いしますm(。_。)m (2019年1月3日 20時) (レス) id: eb52dfdf9a (このIDを非表示/違反報告)
ふぃ。 - 【夜風】の話が……泣い……泣いてはないけど泣きそうになったというかマットリィィィィってなる話でした…。もう……好き。 (2019年1月3日 20時) (レス) id: 5ce2005ee9 (このIDを非表示/違反報告)
Lon(プロフ) - 蒼さん» えええ嬉しいです!!!理鶯推し中々出会えないので同担さんとても嬉しい(*´∀`)そうですよね!今度こそ勝つのはハマです! (2018年12月20日 21時) (レス) id: eb52dfdf9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lon | 作成日時:2018年11月11日 21時