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窮鼠なれど王を噛めーその29 ページ23





「…お前の今の状態や今後については、全て父さんや母さんからから聞いている。
それを聞く限りお前はこの合宿で初めて俺様に会ったと思っているようだがな、実際は何度かお前の顔を見たことがある。まぁそれもお前が引き取られてすぐの話だからな、覚えている訳がねぇ。


最初に顔を合わせたのは、お前が初めて家に来た時だった。」


真夏の蒸し暑い風が俺たちの間を通り抜け、跡部様は思い出すように目を細める。


「あの時のお前は葬式の格好のまんまで突っ立ってたな。まぁ俺様もその時はまだガキだったからハッキリとは覚えてねぇが。
弟よって言われてお前を目の前に押し出されて、取り敢えず俺様は挨拶でもしてやろうと思って手を出したんだ。

…ああ、その時にお前が言った言葉は忘れもしねぇ。お前は無表情で俺様の手を指さして

「これも燃えるの?」

って言いやがったからな。
本気でビビったぜ。俺様は泣きながら手を引っこめて部屋に走ったんだったか…今考えれば葬式なんか出されて混乱してたんだよな。御両親の亡骸が燃えるんなら俺くらい燃えると思うよな……
…今の言い方は不謹慎か、すまねぇ。」


眉間に皺を寄せて謝った跡部様に、大丈夫ですと慌てて言う。
ていうかその時のことは本当に覚えていない。俺が幼稚園なら跡部様は小学生だろうか、よく覚えているな…


「…続けるぞ。
二度目に顔を見たのはそれから三ヶ月程たった頃だったか。とにかくあの時の印象が強烈過ぎて俺様はお前の部屋を俺の部屋から一番遠くにしてくれと頼んで顔を合わせるのを嫌がった。
でも一度だけ、お前の様子が気になって夜に部屋を見に行ったことがあるんだ。

お前の部屋をこっそり覗いたらな、ベッドに蹲ったお前が泣いていた。」


そこまで言うと、跡部様は顔を手で多い、震える息を吐き出した。


「なぜか…なぜか俺様はそれを見て手を伸ばしたんだ。何を考えたかはよく覚えていない。ただ、頭を撫でたり…何か俺にも出来ることがあるんじゃないかと思ったらしい俺様は、毛布越しに小さくなるお前に触れてみたんだ。


触れた瞬間だった。お前が激しく咳き込み始めて、声を上げて泣き始めた…俺様に気付いていたのかいなかったのかは知らねぇ。
俺様はその時に確信したんだ。「これは俺が触れていい生き物じゃない」ってな。」


顔から手を離した跡部様が、真っ直ぐ俺を見つめた。





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木こりのコロポ(プロフ) - 日吉和菓子2円さん» コメントありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2018年4月30日 0時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
日吉和菓子2円 - ルドルフ組が可愛かったです! (2018年4月29日 22時) (レス) id: 9521c565b3 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 第一部隊さん» コメントありがとうございます!ルドルフの中だと淳が好きなので、かなり淳との会話が多くなってしまったかなと思います…!お気に召して貰えたならなによりです! (2018年4月29日 19時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - ルドルフかわいかったです!家族設定面白い!ありがとうございました! (2018年4月29日 18時) (レス) id: 91bd124fa4 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 暁月さん» ご指摘ありがとうございます!訂正しました! (2018年4月29日 13時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:木こりのコロポ | 作成日時:2018年4月14日 8時

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