第15話 ページ15
今日も彼女の元へと向かう。根は少しずつ彼女を蝕み、植物と化していく。それに気付きながらも、Dreamは彼女を呪いから気を離すために色んな話を持ちかけるのだ。しかし、今日は彼女から話題を持ち掛けられた。
「Dream、Mareは元気？」
兄弟の話だった。彼女の認識している兄弟は昔のままだ。この世界にいた彼女はその兄弟がどうなったのかを知らない。だからこそ、彼女はNightmareを心配して、Dreamにその話を持ちかけたのだ。いつかは聞かれるとは思っていた彼だが、いざその話題を振られると、口を噤んでしまった。
「Dream？大丈夫？」
「……うん、大丈夫だよ。わかってたことだから。」
昔、何が起きたかをFriskに話し始めた。Mareはみんなに追い詰められ、黒い林檎を口にし、姿も、中身も変わってしまったことを。Friskは顔色ひとつ変えずに、Dreamの話を最後まで聞いた。今にも泣いてしまいそうなDreamを彼女は優しく抱き寄せだ。
「凄いね。Dream。一人でよく頑張ったね。」
「すごくなんか、ないよ。守れなかった。今だってそうだ。僕はみんなに助けられてばかりだ。」
「凄いよ。私は君を凄いと思うよ。とても誇らしい子。」
そう言って彼女はDreamの頭を撫でた。久しぶりに誰かに甘やかされたDreamは思わず泣いてしまう。
辛かった。悲しかった。泣き叫びたかった。助けたかった。助けられなかった。助けを求めたかった。助けて欲しかった。自分たち兄弟を、受け止めて欲しかった。
誰でもいいから。ありのままの自分を、Nightmareを、同じくらいに愛して欲しかった。
「辛い時に、そばに居てあげられなくてごめんね。Dreamは強い子だね。強過ぎて、誰にも助けを求められなかったんだね。
いいよ。泣いて。沢山、沢山……泣けなかった分を今ここで。私はここに居るから。消えたりしないから。そばに居るから。」
ああ、なんてずるいヒト。本当は消えてしまいたいくらい自分を嫌っているくせに。Dreamを救うためだけの言葉を彼女は並べるのだ。そばに居るだなんて、嘘までついて。
「大丈夫、大丈夫だよ。Dream。私は君の味方だから。」
……また嘘をつく。いいや、嘘では無いのだろう。彼女はみんなを守りたい。等しく愛してるのだ。悪人だろうと、殺人鬼だろうと、彼女はみなを愛してる。
「(僕だけの味方にはなってくれないくせに。)」
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作者名：あゆさ | 作成日時：2021年7月16日 19時
